June 24, 2016 / 8:31 AM / 3 years ago

日本企業、英・EUの新協定を注視 「離脱」相場の影響懸念も

[東京 24日 ロイター] - 欧州連合(EU)からの離脱を選択した英国民投票の結果について、日本の金融機関や各企業では為替変動の影響などに懸念を深めている。今回の開票結果により英国や欧州での事業が大きな変更を強いられるとの予想は少ないものの、離脱実現への道筋はなお不透明だ。英国と欧州の新しい関係を規定する協定交渉の行方を見極めたいなど、今後の対応には慎重な姿勢が目立っている。

 6月24日、EUからの離脱を選択した英国民投票の結果について、日本の金融機関や各企業にはあらためて懸念の声が広がっている。写真は都内で号外を手にする歩行者(2016年 ロイター/Issei Kato)

<ロンドンの中心的な役割は変わらず>

「今回の結果は、英国内で驚くほどに現状への不満が溜まっていたことを示した。保護主義や排他主義が他国に広がり、中長期的に世界経済が分裂・停滞に向かうきっかけにならないことを願う」と大和証券グループ本社(8601.T)の日比野隆司社長は話す。

ロンドンを中心にしている同社の欧州事業への影響について、日比野氏は「(域内の1つの国から許認可を得れば他国でも業務展開を認める)シングルパスポート・ルールに関する交渉を見極めながら、時間をかけ、落ち着いて対応する」との姿勢だ。同時に「ロンドンが欧州の金融市場において中心的な役割を果たす状況は簡単に変わらず、すぐに代替する市場ができるものでもないだろう」と予想する。

三菱東京UFJ銀行は英国・EUの景気低迷や英国のEUパスポート喪失などが離脱のマイナス要因として予想されるものの、「(事業や業績など)経営の根幹を揺るがすような影響を及ぼすものではない」(広報部)と指摘。「英国とEU、関係各国との交渉状況を注意深くモニタリングする」方針だ。

また、三井住友銀行は「米ドル、英ポンド、ユーロについて十分な流動性を確保するなど、既に対応を実行済みであり、英国のEU離脱により直ちに大きな影響を受けるとは考えていない」としている。

「国民投票の結果は大変残念」。キャノン(7751.T)の御手洗冨士夫会長はEU離脱の開票結果に落胆を隠さない。同氏は24日発表したコメントで、今回の事態により、英国やEUに悪影響が広がるだけでなく、日本の景気回復が止まりかねないとの懸念を表明した。

鉄道事業の本社機能を2年前にロンドンに移して関連プロジェクトを積極的に手掛けている日立製作所(6501.T)も、英国内のEU離脱の動きには国民投票前から「大反対という立場」(東原敏昭社長)をとってきた。「英国がEUの一員であるということで電車組み立て工場を作り、ヨーロッパに展開する」(同社長)戦略を展開しているためだ。

今後の影響について、同社長は「離脱の場合、英国とEUの関係がどのような形になるかをみないといけない」としており、両者が今後交渉する新協定の内容を注視する姿勢だ。

トヨタ自動車(7203.T)も「今後の動向を注意深く見守りながら検証していきたい」と慎重な対応を取る方針。三菱商事(8058.T)は英国のEU離脱が「英国景気の先行きに対する不透明感が広がり、消費や投資の低迷につながる」可能性を指摘。「他のEU加盟国にも同様の動きが波及するなど、EUそのものへの懐疑的勢力が増えることも考えられる」として、EU不安定化への懸念を示した。

<金融市場の動揺が収益圧迫も>

今回の国民投票によって英国や欧州での事業をただちに変更するとの動きは少ない。16年下期に欧州4事業の買収完了を予定しているアサヒグループホールディングス(2502.T)の小路明善社長は「当社の事業にすぐに大きな影響が出ることはない」とコメント。パナソニック(6752.T)も「EUから実際に離脱するための協定締結に2年程を要するので、短期的には、貿易等、実ビジネスへの影響は小さい」とみる。

ただ、企業収益への直接的な懸念は、動揺する為替相場の影響だ。パナソニックは今期、1ドル115円、1ユーロ125円を前提にしており、すべての通貨をドルに換算に換算すると1円円高で約350億円の減収、10億円の営業減益要因となる。ドル/円については「上期については110円前後で100%ヘッジを終えている」(河井英明専務)としているが、このまま円高水準が長引けば業績の下押し圧力になるのは避けられない。

サントリーホールディングスの新浪剛史社長は、開票結果を受けたコメントで「英国がEUとの関係をどのようにしていくか注視したい」としたうえで、「為替の動向が企業収益に少なからず影響する」と指摘。為替安定のため各国政府による協調を求めた。

為替変動などが日本企業の財務に与える影響について、資産運用会社スパークス・グループの阿部修平社長は「日本企業経営者にとっては、今回のイベントはショックではあっても、前途を絶望するほどのものではない」という。その一方で、「これ以上、円高に振れさせない政策動員が始まるはずだ。金融政策だけでなく、新たな財政政策も必要。労働分配率をあげることが、ショックの緩和策にもつながる」としている。

*内容を追加しました。

ロイター日本語ニュース

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