April 15, 2019 / 5:39 AM / 2 months ago

コラム:買いたたかれたJDI、屈辱的救済でも他に選択肢なし

[香港 15日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中小型液晶パネル大手、ジャパンディスプレイ(JDI)(6740.T)が救済受け入れに合意したことは、日本政府にとって何とも体裁が悪いが、避けては通れない動きだった。JDIには企業連合が最大800億円(7億1400万ドル)を投じ、最終的に約3分の2の株式を取得する。液晶分野で日の丸を背負って誕生した企業としては安く買いたたかれてしまった形だ。企業連合には中国勢も含まれるので、今後の手続きに米国から待ったがかかる可能性も出てくる。それでもJDIの経営陣は、この救済措置が実現に至ることを祈る以外に道はない。

4月15日、中小型液晶パネル大手、ジャパンディスプレイ(JDI)が救済受け入れに合意したことは、日本政府にとって何とも体裁が悪いが、避けては通れない動きだった。JDIの本社で2016年8月撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

JDIは2012年、官民ファンド「産業革新機構」の肝いりで設立。韓国や台湾のメーカーの攻勢に対抗するため、日立製作所(6501.T)とソニー(6758.T)、東芝(6502.T)の事業を統合し、スマートフォンやタブレット向けの世界最大の液晶パネル企業を誕生させたわけだが、競争力を維持できずに15年以降はずっと赤字が続いていた。

その後何度か公的支援を受けたにもかかわらず、結局JDIと同社が開発した全ての技術は、割安な値段で外国勢の手に渡ってしまう流れになった。台湾のタッチパネル大手TPKホールディング(3673.TW)や中国の投資会社ハーベスト・テックなどで構成される企業連合は、JDIの新株と転換社債をそれぞれ1株当たり50円と、12日終値より37%低い価格、株価純資産倍率(PBR)0.4倍相当で取得する。ちなみに韓国のLGディスプレイ(034220.KS)のPBRは0.6倍だ。

企業連合のJDI持ち分は当初49.8%、転換社債の株式化後は65.4%となる。一方で日本の政府系ファンド、INCJ(旧産業革新機構)は、JDIの債務1520億円の借り換えプランや、この取引が完了するまでのつなぎ融資を提供する。

JDIの救済は、米中関係が貿易問題で緊迫化している最中に発表されただけに、厄介な事態を生むかもしれない。JDIの昨年の売上高の半分強は、アップル(AAPL.O)との取引によってもたらされた。だから今回の救済において中国企業が果たした役割が、米政府の対米外国投資委員会(CFIUS)の関心を誘ってもおかしくない。JDIはカリフォルニア州サンノゼに子会社を持ち、同社の指紋センサー技術が米国の安全保障上の懸念を浮上させる恐れがあるのだ。JDIはCFIUSに救済措置の承認を申請する必要はないとしているが、CFIUS側が申請をするよう求めてくる事態があり得る。

JDIとしてはそうならないよう願いたいだろう。同社は事業継続のためにおよそ350億円が不可欠で、INCJが中国マネーを引き入れるという論議を呼ぶ決断をしたのは、日本政府が損失を減らしたいと考えていることの表れだ。JDIにとって、恥を忍んで受け入れた今回よりも条件の良い提案を目にする機会はもうなさそうだ。

●背景となるニュース

*ジャパンディスプレイ(JDI)は12日、中国と台湾の企業連合から金融支援を受けることに合意したと発表した。日本の政府系ファンド、INCJも支援に加わっている。

*JDIによると、中台企業連合のSuwaコンソーシアムは、普通株および転換社債の引き受けを通じ最大800億円を出資する。

*INJCはJDIに対して770億円の5年間の融資を実行するとともに、750億円相当の債務と転換型優先株式の交換を受け入れる。

*SuwaはJDIの持ち分が49.8%となり、INJCに代わって筆頭株主になる。Suwaの持ち分は、転換社債が株式化された後では65.4%まで高まる見込み。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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