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アングル:10年債の売買成立せず、初の2営業日連続 日銀オペで市場機能低下

9月21日、 東京円債市場で長期金利の指標である新発10年国債の業者間取引(日本相互証券ベース)が、前日に続いて成立しなかった。写真は円紙幣と日本の国旗のイメージ。6月撮影(2022年 ロイター/Florence Lo)

[東京 21日 ロイター] - 東京円債市場で21日、長期金利の指標である新発10年国債の業者間取引(日本相互証券ベース)が、前日に続いて成立しなかった。2営業日連続で売買未成立となるのは、1999年3月に新発10年物が指標銘柄となって初めて。

日銀は指し値オペを連日実施し、10年金利をイールドカーブ・コントロール(YCC)の許容変動幅「上限」の0.25%で抑え込んでいる。大幅利上げ懸念を背景に海外金利が急上昇する中、金利を人為的に抑え込む円債市場では「マーケットが壊れつつある」との声も出始めている。

岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは「新発10年債は今後もしばらく取引が成立しない可能性がある」との見方を示す。海外からの金利上昇圧力が一段と強まる中で、市場は「実勢の10年金利は0.25%より高い(価格は低い)」とみているからだ。

日銀は10年債の対象銘柄を実勢より低い0.25%の利回り(実勢より高い価格)で無制限に買い入れる「指し値オペ」を毎日実施しており、このため、市場参加者は指し値オペには応札しても、通常の市場では売買しないようになってきたという。

日銀が今年4月以降、毎営業日オファーしている指し値オペに対しては、先週14日以降応札が増えており、21日は、365回・366回・367回債のカレント3銘柄に対して1兆2637億円の応札・落札があった。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介債券ストラテジストも、海外金利の上振れが今後も続くならば、日銀がYCCを諦めない限り、現物債は10年カレントゾーンだけ出合いがない状況が続く可能性があると予想する。また、来月3日に新発債が発行されればムードが一度リセットされる可能性もあるのではないか、との見方も示した。

米資産運用大手アライアンス・バーンスタインの日本債券ポートフォリオマネジャー、橋本雄介氏は「日銀が淡々と無制限の買い入れを行う中、世界有数の規模を持つ日本国債(JGB)市場ではモノがなくなり流動性が枯渇し、マーケットの機能が損なわれつつある」と指摘する。

「JGBのショート(空売り)は『ウィドウメーカー(widow-maker)』の異名の通り日銀がその気になれば必ず勝てるトレードだが、日銀が止めようと固執するほどに市場機能が壊れていく。状況は徐々に悪化しており、また黒田日銀に対する政治的圧力も高まる中、どこかで転換点が来る」(橋本氏)との見立てから、同社では先月半ば以降、アクティブ運用の債券ポートフォリオでJGBを対ベンチマークでアンダーウエートし、日銀の政策修正の可能性に備えている。

(植竹知子 取材協力、編集:伊賀大記)

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