January 30, 2020 / 8:22 AM / 18 days ago

FOMC後に進んだ日本株安、逃避マネーが米国に集中

[東京 30日 ロイター] - 29日までの米連邦公開市場委員会(FOMC)はハト派的だったとの受け止めが多かったにもかかわらず、日本では株安が進んだ。新型肺炎拡大への警戒感が強まる中、金利低下を好感できないでいる。逃避マネーは、経済への影響が小さいとみられている米国に集中。日本株は企業業績悪化への懸念も強く、パフォーマンスが一段と悪化している。

 1月30日、29日までの米連邦公開市場委員会(FOMC)はハト派的だったとの受け止めが多かったにもかかわらず、日本では株安が進んだ。写真は東京証券取引所で2018年10月撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

<ハト派インパクトが弱かった理由>

「ハト派的FOMC」のインパクトが弱かったのは、「利下げ」よりも「利上げなし」の予想が強まったからだ。

パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長による新型肺炎への言及を「ハト派的」と受け止める声もあるが、29日の米債市場では、2年債よりも10年債の方が金利低下幅が大きかった。新型肺炎への言及に注目したのであれば、影響が出やすい短めの金利が大きく低下するはずだ。

注目されたのは、FOMC声明のインフレ率に関する表現。前回は「2%の目標近辺にあるインフレ率」との表現だったのが、「(現行の金融政策スタンスが)2%の目標に回帰するインフレ率(をサポートするのに適切である)」に変更された。

「2%近くまでインフレ率が高まれば、目標達成とするのではなく、2%が明確になるまで金融緩和を続けるということをコミットした文言だ。すぐに利下げするわけではなく、しばらく利上げはない、ということを示した」と三井住友銀行のチーフ・マーケット・エコノミスト、森谷亨氏は指摘する。

CMEグループのフェドウォッチによると、金利先物市場が示す確率(日本時間30日午後1時時点)は、3月までの利下げ確率が前日の7.7%から13.1%に上昇した一方、利上げは12.1%からゼロに低下。今年12月まで見渡しても、現時点で利上げ予想は市場から消えている。

<ハイテクで目立った日米差>

ハト派インパクトが弱いのは日米ともに同じはずだが、29日の米株は総じて横ばい。30日の米株先物ESv1も0.9%程度の下げにとどまっている。一方、日経平均.N225は1.72%の下落。年初来でみてもプラスの米株に対し、日本株はマイナスと、新型肺炎拡大を懸念する逃避マネーが米国に集中する傾向をみせている。

その差は経済や企業業績の見通しの違いだと三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ投資ストラテジスト、藤戸則弘氏は指摘する。「日本は中国と距離も近く観光客も多い。また日本企業は中国との関係が深く、サプライチェーンなどへの影響が懸念される。一方、米国は強いファンダメンタルズを維持している」という。

この日は図らずも日米ハイテク企業の業績の違いが目立ってしまった。

米アップル(AAPL.O)が28日に発表した2019年10─12月期は売上高、最終利益が2年ぶりに過去最高となり、株価も過去最高値を更新した。一方、20年3月期の業績予想を下方修正した日本のSCREENホールディングス(7735.T)はストップ安。

スマートフォンと半導体製造装置と主力分野は異なるものの、「ハイテクセクター」の強弱感が、マーケット全体の印象の違いとなってしまった。韓国サムスン電子(005930.KS)の第4・四半期営業利益が34%減となるなど、弱いのは日本だけではないものの、「米国一強」のイメージがマーケットでは強くなっている。

<米国にこそリスク>

株式市場だけでなく、債券市場でも米国へのマネー集中が起きている。新型肺炎の警戒感が強まる中、米金利は大きく低下。日米金利差は10年債で2016年9月以来、2年債で17年9月以来の水準まで縮小している。

そうしたなかでも、円高が大きく進んでいないことが、日本株の数少ない救いだ。低金利通貨が円だけでなくなったため、リスクオフ局面でもキャリートレードの巻き戻しが起きにくくなっていることや、円高局面で国内投資家のオープン米債投資が活発化することなどが理由だとみられている。

しかし、だからこそリスクは米国にあるとニッセイ基礎研究所のシニアエコノミスト、上野剛志氏は指摘する。

「悪いと思っていたところが悪くても市場は驚かない。良いと思っていたところが悪くなったときに、ショックは大きくなる。好調と思っていた米経済が悪いとの認識が広がれば、ドルが今度こそ売られ円高が進むリスクがある」という。

「米国一強」がマーケットで進めば進むほど、失望時の反動は大きくなる。その際、日本株にマネーが回帰すればいいが、リスクオフの円高に振れるようであれば、日本株もさらに売られるという「いつもの景色」になりかねない。

(編集:石田仁志)

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