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焦点:緊迫化のウクライナ情勢、試される米大統領の「覚悟」

[ワシントン 1日 ロイター] -ロシアはオバマ米大統領の厳しい警告を無視し、ウクライナ南部クリミア半島での軍事介入を拡大。米政府がロシアに方針転換させる力や意思を持っているかどうかを試すこの事態は、オバマ大統領にとって正念場だと言える。

3月1日、ロシアによるウクライナ南部クリミア半島への軍事介入は、オバマ大統領にとって、米政府がロシアに方針転換させる力や意思を持っているかどうかが試される正念場となる。メキシコのロスカボスで2012年6月撮影(2014年 ロイター/Jason Reed)

これまで可能な限り国際紛争に巻き込まれるのを避け、米国内の問題に集中を続けてきたオバマ氏だが、冷戦終結以来最も危険な東西のこう着状態に直面している。

米当局者はこれまで、ウクライナの政治危機が米国とロシアの対立に発展することは望まないと表明してきたが、ヤヌコビッチ氏の大統領解任から1週間となる今月1日、オバマ政権の外交担当者はロシアのプーチン大統領の踏み込んだ行動に対応を迫られることになった。

プーチン大統領は同日、ウクライナへの軍事介入について上院に承認を求め、同意を得た。プーチン氏がロシアの影響下にあるとみなすウクライナでは、ロシア軍がクリミア半島を既に占拠しているとみられる。

米ホワイトハウスによると、オバマ氏はプーチン氏との90分間にわたる電話会談で、ウクライナに対するロシアの軍事介入を非難。ロシアが国際社会で政治的、経済的な孤立を深めると警告し、ロシアのソチで予定される主要8カ国(G8)首脳会合(サミット)の準備会合への出席を見送る方針を伝えた。

オバマ氏は2月28日、ウクライナに対するいかなる軍事介入も代償を伴うと警告していたが、プーチン氏はこれを無視。オバマ氏がかつてパートナー関係を結ぶことを期待したプーチン氏だが、今では敵対する存在になったようにみえる。

ウクライナは、ロシアにとっては歴史的なつながりが強く経済的利益を持つ国である一方、米国人にとってはなじみの薄い国だ。そのような国に対するオバマ大統領の「断固として戦う用意」は、ロシアのウクライナに対する姿勢とは比較にならず、プーチン氏はその事実をよく把握しているようだ。

クリミア半島は旧ソ連がフルシチョフ政権時代の1954年にウクライナに譲渡。黒海沿岸のセバストポリにはロシアの黒海艦隊の基地があり、ウクライナのなかでロシア系住民が多数派を占める唯一の地域となっている。

米国のジョン・マケイン議員はロイターに対し「オバマ大統領が(ウクライナ情勢を)冷戦のシナリオと捉えたくないとしても、プーチン大統領はそうしている」と述べた。

米当局者や元当局者は、ロシアが現在の方針を続ければ失うものは大きいと伝えることで、米政府と欧州の同盟国が圧力をかけることは可能だと指摘する。

先に駐ロシア大使を辞任したマイケル・マクフォール氏は「ソチ五輪で『新たなロシア』を披露するため、プーチン氏は500億ドルを投じたとされている」とした上で、「軍事行動を起こすのであれば、これまで望んでいたものを全て失うということを同氏は理解する必要がある」と語った。

<危機管理>

ホワイトハウスがウクライナ情勢をめぐる問題の重大さを迅速に認識し、十分な注意を払っていたかどうかに対しても疑問が浮上している。

米当局者や関係筋は、国務省が過去数カ月間にわたり、ロシアの旧ソ連圏諸国に対する強引な姿勢について警鐘を鳴らしてきたとしている。

昨年11月に行われた欧州連合(EU)と旧ソ連諸国の首脳会議で、ヤヌコビッチ氏はロシアからの圧力を受ける中、EUとの自由貿易協定の締結を拒否。米シンクタンク、アトランティック・カウンシルのデイモン・ウィルソン氏は「米国が(ウクライナ情勢への)関与を深めたのはこの時だ」と述べた。

マクフォール氏は、ウクライナ情勢について昨秋から注視していたと指摘。「われわれが注意を払っていなかったというのは誤っている」と述べた。

ウィルソン氏はロシアに対するオバマ大統領の警告を評価した上で、ウクライナ情勢がロシアとの外交関係にどの程度の悪影響を与えたかを判断する必要があるとの考えを示した。

<ロシアへの警告>

1997─2001年に米国の駐ロシア大使を務めたジェームズ・コリンズ氏は、2008年に起きたロシアとグルジアの軍事衝突と比較すると、「ロシアと欧州、米国の外交関係の悪化という意味で、(ウクライナ問題が)より深刻である可能性がある」と述べた。

米高官はロシアへの対応として、6月のG8サミットの欠席や貿易関係強化の拒否などを挙げた。ホワイトハウスは2日の声明で、ロシアが「政治的、経済的な孤立を深める可能性がある」と警告した。

経済制裁の検討は時期尚早である一方、マクフォール氏は「クリミアで起きていることが拡大するならば、ロシアに対する懲罰的措置は現実になる」との見方を示した。

現時点では、米政府はハイレベルでロシアとの会談を続けており、米国防総省によると、ヘーゲル国防長官は1日、ロシアのショイグ国防相と電話で会談。ロシアの軍事介入が欧州と国際社会の安全保障を危険にさらすことになると伝えたという。

<ウクライナへの支援>

ウクライナをロシアの影響下に置くため、プーチン氏は同国に金融支援を行う準備があることを明らかにしている。

一方、EU、米国、国際通貨基金(IMF)は、ウクライナの新政権に対する金融支援を検討している。ただ、米政府には支援がウクライナ経済のテコ入れに間に合わない可能性があるとの懸念もあり、支援を加速するため米議会への圧力が高まっている。

また駐ロシア大使の不在という問題もある。当局者によると、ライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)と国務省はマクフォール氏の後任について最近合意に達し、間もなく発表されるとの見方もある。

後任候補として名前が挙がっている人物には、過去に駐ウクライナ大使を務めたジョン・テフト氏、スティーブン・パイファー氏、カルロス・パスカル氏が含まれるという。

(Matt Spetalnick記者、Warren Strobel記者、翻訳:本田ももこ、編集:橋本俊樹)

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