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アングル:日銀、生産下振れに警戒感 現状判断の文言修正の可能性

[東京 15日 ロイター] - コロナ禍の景気回復をけん引してきた輸出・生産の下振れへの警戒感が日銀内で強まりつつある。新型コロナウイルスの感染急拡大で東南アジアの部品工場が稼働を停止、自動車メーカー各社が減産に追い込まれており、減産長期化への懸念が生じている。コロナの影響は見通しづらく、21―22日に開催される金融政策決定会合では生産の下振れリスクを踏まえ、輸出・生産の現状判断の文言を微修正する可能性もある。

コロナ禍の景気回復をけん引してきた輸出・生産の下振れへの警戒感が日銀内で強まりつつある。写真は2016年9月、都内の日銀本店で撮影(2021年 ロイター/Toru Hanai)

一方、外需の強さから、部品供給が戻れば生産が再び回復するとの見方は根強い。日銀は経済の現状や先行きの判断を維持し、金融政策も現状維持とする公算が大きい。

<トヨタが追加減産>

日銀が「着実な増加を続けている」と判断してきた輸出・生産に向かい風が強まっている。

トヨタ自動車は10日、東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大などに伴う部品供給不足により、9月と10月を合わせた世界生産を8月時点の計画から約40万台さらに減らすと発表した。8月に9月の世界生産を36万台減産すると発表していたが事態は想定以上に悪化し、追加減産に追い込まれた。22年3月期通期の世界生産計画も従来の930万台から900万台へ下方修正した。

感染症は自然災害と異なり、生産設備が毀損されるわけではない。日銀では需要さえ強ければ生産も堅調さを維持できるとみてきたが、東南アジアの工場でのクラスター発生と稼働停止により、生産にも新型コロナの不確実性が影響することが示された。生産が減れば前年対比で高い伸びが続く輸出も伸び率縮小は避けられない。

日本自動車工業会(自工会)の永塚誠一副会長は9日の会見で、海外での新型コロナウイルス感染再拡大の影響で10月も「会社によってはもう一段、減産の可能性がある」との見方を示した。

SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは、鉱工業生産指数のうち自動車工業が7―9月期には前期比1割近い減産になる可能性があるとみている。

<東海3県、1年4カ月ぶり景気判断引き下げ>

15日発表の9月ロイター短観では、製造業DIが前月から15ポイントの大幅悪化でプラス18となった。20年6月のマイナス46をボトムに一本調子で回復を続けてきたが、自動車の減産が打撃となった。自動車を含む「輸送用機器」は48ポイント悪化のマイナス14で昨年11月以来の低水準となった。

トヨタのおひざ元、東海地方の景気にも影響が出てきた。日銀名古屋支店は10日、愛知・岐阜・三重の東海3県の景気判断を1年4カ月ぶりに引き下げ、「持ち直しの動きが一服している」とした。「増加基調にある」としてきた輸出・生産の判断を「足踏み状態となっている」に変更したことが響いた。

もっとも、多くのエコノミストは、外需が引き続き強いことから、部品供給が戻れば挽回生産や在庫の積み増しで生産は22年に回復するとみている。日銀は21日からの金融政策決定会合で、輸出・生産の現状判断を7月展望リポート時の「着実な増加を続けている」から弱めに修正するか、下振れリスクに言及する可能性があるものの、「基調としては持ち直している」との経済の現状判断や、感染症の影響が徐々に和らぐもとで経済が回復していくとの見通しは維持する公算が大きい。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニア・マーケットエコノミストは、日銀が輸出・生産の判断を引き下げるとすれば展望リポートを議論する10月の決定会合になると予想。8月鉱工業生産で示される予測指数などを踏まえ、「着実な増加を続けている」から「着実な」を取る可能性があるとみている。

大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは、緊急事態宣言の延長や半導体の供給不足で21年度の実質国内総生産(GDP)の見通しは7月の展望リポート時の前年度比プラス3.8%からプラス3%台半ばに下方修正される可能性があると予想。ただ、六車氏、岩下氏とも日銀の追加緩和は想定しづらいと話している。

(和田崇彦 取材協力:木原麗花、杉山健太郎 編集:石田仁志)

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