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ブログ:鉄スクラップ価格下落と君津沖の滞船

[東京 14日 ロイター] - 鉄スクラップ価格が下落している。指標である輸出用の10月平均落札価格は、1トン3万487円と1年10カ月ぶりの安値となった。

写真は2008年2月、新日鉄(現新日鉄住金)の君津製鉄所(2014年 ロイター/Michael Caronna)

価格と比べて現物が大きすぎて本格的な先物市場が育ちにくい鉄スクラップは、経済の実体をかえって表しやすいとされているだけに、下げが本格化すれば気になるところだ。

2008年9月のリーマンショック直前には、世界的な商品ブームに乗り、同年7月に一時トン7万円台の史上最高値をつけたが、8月の北京オリンピック開催と前後して急落、わずか3カ月で1万円まで急落したのが思い出される。

直接のきっかけは、オリンピック開催に伴う空気浄化のため、北京周辺の製鉄所の一時的な生産停止に伴う需要減だった。しかしその後は投機的な需要の逆戻しに拍車がかかり、事後的にはリーマンショックの予兆現象にみえた。

リーマンショック後は自動車メーカーの大減産により、鉄鋼メーカーでは毎週のように受注のキャンセル、下方修正が相次ぎ、高炉大手は苦渋の大減産に追い込まれていく。

鉄スクラップは主要な輸出先である韓国向けや、国内の高炉向けがともに急減。大手電炉メーカーの鉄スクラップ置き場が満杯となり、運搬する船が港の沖で列をなして滞船する姿も目撃された。

高炉大手は、需要が急減しても生産量の調整には限度があるため、敷地内に鉄鋼の半製品であるスラブの在庫が山のように積みあがった。

新日鉄(現新日鉄住金)5401.Tの君津製鉄所では、敷地内の鉄鉱石や原料炭、鉄スクラップ置き場がスラブの在庫であふれかえったため、鉄鉱石や石炭の運搬船が荷を下ろせず、巨大なばら積み船が沖合で何隻もぷかぷかと浮いて待機しているさまが、海ほたるからも観察できた。

実は今年8月も海ほたるから君津方向をみると、数隻が滞船する姿があったので気になっている。

国内鉄鋼メーカーの毎月の粗鋼生産をみると、ここ数カ月ゆるゆると減産している。公共工事で国内の建材需要が底堅いからだろうが、自動車メーカーの在庫調整の影響は着実に鉄鋼需要にも響いているはずだ。

中国の鉄鋼メーカーは、市場原理が働きにくく雇用維持のため減産に踏み切りにくいとされてきたが、統計をみる限り、前年比で粗鋼生産はほぼ横ばいとなっている。

リーマンショックの大きさに隠れがちだが、ここ10年間の鉄鋼市況のバブル的側面も見逃せない。中国の鉄鋼需要は確かに伸びてきたわけだが、鉄鉱石・石炭を運ぶ船の需要、船を造るための鉄鋼需要と連想が連想を呼び、未曾有の資源バブルをけん引してきた。

リーマンショック後に米国を中心に先進国中銀が未曾有の金融緩和に踏み切ったことも、相対的にお金の価値の低下と、モノ・商品価格の底上げに寄与し、商品バブルの破裂が先送りされてきたとも言える。米金融緩和縮小でいよいよ破裂が本格化するのか、それも見越して、そもそも緩和縮小や利上げも相当緩慢なペースで進むのか、今後が注目される。

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