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ブログ:バブリーな円安の行方

森 佳子

写真は2010年9月、1万円紙幣と米ドル紙幣。都内で撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

為替市場でドル高/円安が続いている。来年もドル高/円安が続きそうだというのが大方の見方だ。ただ目下進行するドル高/円安は、1990年代後半のそれと質感が全く違うように思う。

当時は米政府がドル高/円安の旗を振っていた。「ドル高は国益である」と唱えるルービン財務長官の下、ドル高実行部隊の急先鋒だったヘッジファンドや投資銀行は圧倒的な規模で円キャリー・トレードを実施した。

後に明らかになったのは、当時の金融バブルの下、いち早く危険性を察知してデリバティブ規制を強化しようとしたSECの動きを、ルービン氏とグリーンスパンFRB議長が結託して握り潰していたことだ。ルービン氏は、金融危機に至るバブル形成を助長したとして、英雄から一転してヘッジファンドの利益代弁者として認識されるようになった。

今回のドル高/円安の舞台に米政府は登場していない。輸出倍増計画を掲げるオバマ政権にとって、ドル高はおもしろくないはずだ。

ただ、ドルが全面的に強いのかといえば、実はユーロに対しても、豪ドルに対しても、アジア通貨に対しても弱く、巨額の外貨準備を保有する国々では既にドルの「オーバーハング」が意識されている。

また、90年代のドル高/円安局面では投資銀行がプライムブローカレッジを通じてヘッジファンドに巨額の資金を提供していた。それとは対照的に、リーマンショック後の金融界ではデレバレッジが止まらない。危機後に強化・導入された金融規制の影響もあり、金融機関は着々とバランスシートを削り、リスクアセットを圧縮している。

投資銀行のデレバレッジの指標とされるブローカー・ディーラーの社債・外国債在庫は2007年ピーク時の4200億ドルから現在は1600億ドルと約3分の1まで圧縮されている。こうした環境でリスクウェートが100%であろうヘッジファンドに金融機関から潤沢な流動性が提供されるわけがない。

投機の力は確実に弱っている。結果として、先物やオプションというお金があまりかからない取引が投機筋の自己実現の場になる。2007年のパリバショック以前の水準に膨らんでいるIMMの円売りポジションはその象徴と言えるだろう。

バブリーまたは質感を伴わないドル高/円安は、脆弱性を秘めているのかもしれない。

(東京 20日 ロイター)

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