for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

ブログ:法人税減税は総合的議論を

写真は2009年2月、都内のオフィスビル(2013年 ロイター/Toru Hanai)

河口 浩一

[東京 10日 ロイター] - 5日に行われた安部晋三首相の講演では、成長戦略の最大の目玉とみられた法人税減税への言及がなく当日の日経平均は急落した。その後、政権幹部から法人税減税の検討を示唆する発言が相次いでいる。

株安を意識しあわてて取り繕った感は否めないが、ここは財務省の反対を押し切ってでも、実施を真剣に検討する価値はあるのではないだろうか。海外の主要国と比べて高水準にある法人実効税率の引き下げを求める声が経済界から出るのはもちろんだが、グローバル化する経済の中で海外から直接投資を呼び込むという観点からも法人税減税の検討は欠かせない。設備投資減税などでお茶を濁せば禍根が残る。

もともと法人税とは奇妙な税制で草創期から相当な議論が行われてきた。法人を株主とは別個の実在するものと捉えて課税するわけだが、法人の所得は個人に分配されて最終的に個人が消費する。所得が個人に分配された段階で所得税を徴収するなら、法人の所得に課税する根拠は希薄になる。極端なことを言えば人間は生きていれば消費をするわけであり、税制を消費税に1本化しても良いはず。そうすれば膨大な徴税コストの節約にもなる。

税制に関する議論は尽きないが、是非とも解決すべきは法人税と配当所得税の二重課税問題だ。配当は企業が法人税を納めた後の利益を株主に分配したものであり、配当に改めて課税すれば株主は二重に税金を払うことになる。

にもかかわらず2014年1月からは配当にかかる税率が現在の税率10%から20%に倍増する。本則に戻るといった報じられ方が一般的だが、現在の証券税制がスタートする2003年以前には源泉分離課税という優遇された税制が併用されていた。多くの投資家は一方で価格変動のリスクを取りながら、20%もの税率を初めて課されることになる。

NISA(少額投資非課税制度)などで小口投資家を優遇するだけでは恐らく不十分であり、税制全体としてみれば二重課税問題がさらに悪化するのは避けられそうもない。企業の国際競争力という観点だけに目が向きがちだが、二重課税問題の改善という意味でも法人税減税と配当課税の総合的な議論が必要だ。配当増税だけ実施し法人税減税を行わなければバランスを欠く。このままでは年末にかけて富裕層による利益確定売りで株式市場は相当な混乱も予想される。

(東京 11日 ロイター)

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up