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ブログ:東電会見、謝罪はいつまで続くのか

浜田 健太郎

写真は先月、都内の東京電力本社で会見に臨む広瀬直己社長(2013年 ロイター/Toru Hanai)

東京電力9501.Tの広瀬直己社長の会見はいつも謝罪から始まる。「いまなお多くの方々に大変なご心配、ご迷惑、ご不便を掛けていることをお詫びを申し上げます」──。記者会見だけではない。福島で。国会で。漁業関係者に。

折しも「謝罪の王様」という映画が上映中だが、「広瀬社長こそ、その名にふさわしい」と指摘したらご本人は気分を害されるだろうか。

社長がどれだけ誠意を込めて謝罪しようとも、原発事故の現場は情け容赦ない。阿武隈山系から第1原発建屋への地下水流入が止まらず、汚染水は増え続ける。溶け落ちた核燃料を取り出す技術に目途はつかず、避難住民の早期帰宅が実現するわけでもない。

国民は現状が東電の手に余ることを知っている。賠償、廃炉、除染。東電が負担する金額が最終的にどれだけ膨らむのか誰にもわからない。「会社更生法の申請で裁判所に駆け込むことも出来ない」(東電関係者)というがんじがらめ。見切りをつけた人材の流出が続くのは無理もない。

東電を「生かさず、殺さず」にしたまま、電力事業の収益から事故対応を進めるという、原子力損害賠償支援機構法によるスキームに持続可能性はあるのだろうか。賠償をはじめ国が全責任を持つことを前提に破綻処理を断行すればよかったとは思うが、時間が経過するほど東電への融資や事業債権は増え続ける。すでに破綻処理のタイミングは逸したという印象だ。

次善の策として、経営権を握る政府が東電に発電所売却を促し、名実を伴った形で発送電分離に踏み切るべきとの声もある。一部の需給調整用電源を残し、最終的には水力、火力、原子力(柏崎刈羽)の発電所資産(簿価で合計約2兆円)の全てを売却して、弁済優先度が高い電力債(6月末時点残高4兆2800億円)の償還の一部に充てる。

この過程で東電株は上場廃止にする。発電所売却後、東電は送配電会社に看板を書き替え、社債と借入金を引き継ぐ。政府は送配電会社の株式を保有し続けて、2020年度を目途とする電力システム改革完了後に再上場させて、上場益を賠償支援資金の返済原資などに充てる。

首都圏は世界有数の電力市場を抱える。発送電分離を実現して成果を挙げれば、内外に日本の改革進展をアピールできるだろう。東京湾岸に点在する東電の老朽火力の更新は国内外の事業主体に任せればよい。都市ガス、石油、商社、鉄鋼、通信、さまざまなプレーヤーが参入するはずだ。

柏崎刈羽原発は中部電力9502.Tが引き継ぐことはできないか。浜岡原発がある静岡県の川勝平太知事は、中部電の安全に対する経営姿勢について「原発を持っている9つの(地域)電力で最も良心的」と評価しており、その言葉を素直に信じたい。

中部電だけでなく新潟県や関東各都県の自治体に柏崎刈羽への資本参加を呼びかけるのも一案だ。事業者、立地地域、消費地域が協調するモデルケースになればよい。順調に稼働すれば立地地域には収入源になる。

福島第1・第2原発は、国が廃炉を担う組織を作って責任を負う。現場作業は東電からの移籍組を中心に進める。相応の給料引き上げが必要だろう。電源三法交付金といった既存の財源を活用することで、新たな負担発生を抑えるよう経産省が知恵を出し、送配電会社と発電会社に移る東電社員はエネルギー供給という本来の仕事に専念できる。

以上の内容は東京電力の解体にほかならない。抵抗感を持つ東電マンがいるかもしれないが、改革を望む社員も少なくないと聞く。社員の多くは、経営トップによる際限ない謝罪や反省の言葉ではなく、再出発への希望を求めているのではないだろうか。

(東京 9日 ロイター)

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