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ブログ:スポーツが刺激する地域経済

田中 志保

写真は昨年3月、都内で行われた米MLBのオークランド・アスレチックスとプロ野球の読売ジャイアンツのプレシーズンゲームを観戦する少年(2013年 ロイター/Toru Hanai)

10月26日に開幕したプロ野球日本シリーズ。宮城県・仙台市を本拠地とする東北楽天ゴールデンイーグルスは、2005年に球団を結成して以来初めて進出、日本一を目指し戦っている。

日本シリーズでは、セントラルとパシフィック両リーグの覇者が7試合を戦い、先に4勝をした方がその年の優勝チームとなる。今年はパ・リーグ優勝の楽天に対し、昨年優勝の読売ジャイアンツがセ・リーグ代表となった。30日には、巨人が楽天に競り勝ち、ここまでの対戦成績を2勝2敗とした。

両リーグ上位3球団が争う、前哨戦のクライマックス(CS)ファイナルステージでは、固定ファンの多い阪神タイガースと、優勝争いに絡むのは16年ぶりの広島カープが進んだとあって、例年以上にファンの熱気が高まった。結局、両リーグともレギュラーシーズンを制した球団が勝ち抜いた。

日本シリーズ最初の2試合は仙台にあるクリネックス・スタジアム宮城で行われ、合計で5万人以上が来場した。29日からの東京ドームでの3戦では決着がつかないため、最後の2試合を再び仙台で戦う。

仙台での初戦を観戦した地元テレビ局の職員はこう漏らす。「楽天が勝つのはうれしい。でも本音を言えば、試合がもつれて4対3で楽天が優勝するというのが理想。(試合会場が)また仙台に戻ってくれば、観客も増えるしCMのスポンサーがつくから」と。

仙台に本店を置く七十七銀行は9月、東日本大震災で甚大な被害を受けた地域経済の復興と、県民マインドの高揚に資する情報提供と銘打ち、「東北楽天ゴールデンイーグルスの優勝および日本一を想定した経済波及効果推計調査の結果」を発表。楽天がリーグ優勝、さらに日本一になった場合の県内経済に対する波及効果を推計している。

この調査によると、CSファイナルステージと日本シリーズ開催(最多の10試合と仮定)による観客消費額は33億7000万円、仙台市内の百貨店での優勝セールなどの開催による売上増加額は4億8900万円。シーズン全てを通して仙台で消費されるお金は、合計で52億3700万円に上る計算だ。

七十七銀行はその他にも、1)百貨店以外のスーパーや商店街などでの優勝セール効果、2)優勝パレード開催による観客の消費効果、3)スタジアム増設に伴う建設投資効果、4)ファンの応援意欲高揚に伴う飲食などの関連支出効果、などを鑑み「さらなる経済効果の積み上げが期待される」と結んでいる。

これは、長らくプロ野球球団を持たず、また震災で被害を受けた東北地方における地元球団の優勝という効果を分析したものだが、他のどのチームの本拠地も優勝となれば大なり小なり、同じような盛り上がりが見込まれる。

また、プロ野球に限らず、大学野球での優勝校の地元や所属する人気投手の出身地で行われる優勝セールや、サッカーの日本代表戦、日本で開催されテレビ放映も多いフィギュアスケート、バレーボールの国際大会など、その他のスポーツでも同様のことが言えるだろう。

政府は、2020年夏季五輪開催地が東京に決まったことで、スポーツ行政を一元的に担う「スポーツ庁」の創設を検討しているという。しかし、五輪まで待たなくても、日本はこれほどスポーツで活気づく国だ。民間と自治体が一体となれば、さらなる消費と経済効果を生み出せるのではないだろうか。

スポーツ庁が、日本人のスポーツ好きを国として後押しする機能を持つのであれば、その創設を急ぎ、五輪開催に向けて、観光立国だけでなくスポーツ立国をも目指し、その課程で各地域で根づいた地元選手・競技への愛着と景気を刺激することはできないか。観戦する側としても、経済の活性化に一役買っていると思いつつ、ひいきのチームを応援するのも、スポーツの楽しみ方の一つだと思う。

(東京 31日 ロイター)

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