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コラム

コラム:東北を太陽光・風力発電の集積地に、政府は税減免打ち出すべき

田巻 一彦 

 5月26日、東日本大震災で被災した東北地方の太平洋岸を自然エネルギーの先端地域として再生するアイデアが、多方面から出てきている。写真は福島県郡山市で撮影した、電源開発(Jパワー)の風力タービン。2007年11月撮影(2011年 ロイター/Toru Hanai)

 [東京 26日 ロイター] 東日本大震災で被災した東北地方の太平洋岸を自然エネルギーの先端地域として再生するアイデアが、多方面から出てきている。太陽光や風力などを利用した発電システムを東北地域で集中的に展開し、自然エネルギーシステムを駆使すれば、日本の未来像をひと足先に東北地方で実現できるという点に夢と希望が盛り込まれている。

 菅直人首相は26日に開幕する主要国首脳会議(ドービル・サミット)で太陽光発電など自然エネルギーの推進を表明すると伝えられているが、その主要な投資先は東北地方とし、震災復興計画の中心的なテーマに自然エネルギー利用を掲げ、法人税や固定資産税などを減免した特区を新設して官民一体の取り組みを主導するべきだ。 

 <日産の志賀COOが温めていた構想> 

 経済界からも復興に関するさまざまなアイデアが出ているが、日産自動車7201.Tの志賀俊之・最高執行責任者(COO)は3月11日の大震災発生直後から自然エネルギーに関するある構想を持っていた。津波の被害を受けた東北3県を中心にした沿岸地域では、新たな津波被害を避けることが何よりも重視されるが、そこでは住宅などは建設せず、新しい土地利用を考えるべきとし、その具体策の1つとして「太陽光パネルを敷き詰めて、太陽光発電の集積地とするべきである」と指摘する。また、パネルを設置する区域は広範囲にわたると予想され、大量の太陽光パネル需要が発生することになる。そこでパネル設置区域の近隣に太陽光パネルを製造する工場も誘致して「新たな雇用を生み出せば、東北地方の復興を促進することができる」と志賀COOは述べている。 

  <大きな発電規模が期待できる風力> 

 さらに東北地方の沿岸から遠くない沖合にフロート型の風力発電機を多数設置し、風力発電でも先端的な技術を駆使して発電すれば、太陽光や風力などクリーンエネルギーの先端エリアとして、東北地方を復興させることが可能になるとの展望を示している。風力発電に関しては、16日に東京都内で開かれた駐日欧州連合代表部によるシンポジウムで、岩田一政・日本経済センター理事長(元日銀副総裁)が被災した太平洋岸で大規模に風力発電を展開すれば、夏場の東北電力管内の最大需要量を上回る1500万─1600万キロワットの発電量が確保でき、法人税や所得税を免除することで損益分岐点が下がり、採算ベースに乗りやすくなるとの見解を示した。 

  <宮城県が検討するエコタウン> 

 共同通信によると、宮城県が検討を進めている復興計画の中では、自然エネルギーを供給する「エコタウン」を作り、全戸に太陽光パネルを取り付け発電するほか、地熱発電なども導入し、余った電力は電気自動車に回すという構想が含まれている。エコタウン自体は津波の被害が出ないよう高台に建設することが前提になっているという。これらの構想に共通するのは、太陽光や風力、地熱などを利用した自然エネルギーに着目している点だ。一部の報道では、菅首相はドービル・サミットで太陽光パネル設置などにかかるコストを2020年までに現在の3分の1にすることを盛り込んだ「サンライズ計画」を発表する。25日にはパリで開かれた経済協力開発機構(OECD)設立50周年記念行事で菅首相が講演し、自然エネルギーの総発電に占める割合を2020年代の早期に20%へ拡大する方針を表明した。この政府方針をまず、東北地方で実現するために大震災の復興計画の中心に、太陽光や風力など使った発電システムである自然エネルギー活用計画を取り込むべきだ。 

  <特区で法人税など減免すべき> 

 具体的には、法人税や所得税、固定資産税などを減免した特区を被災地の中に設け、地盤沈下によって海水が溜まった土地や沿岸部の津波被害を受けやすい土地を国が借り上げ、そこに太陽光パネルを設置して大規模太陽光発電所(メガソーラー)を作り、最先端の集積地域とするべきだ。風力発電もフロート方式も含めて大規模にに展開し、自然エネルギーは日本のエネルギー政策において「メーンディッシュにはなり得ず、付け合せにに過ぎない」というこれまでの常識を覆してほしい。そこで得られた結果や経験を活用し自然エネルギーによる発電を産業化できれば、エネルギー需要の強い新興国にそのシステムを輸出し、日本の中心的な産業にまで発展させることも可能になるだろう。 

 25日には、北海道、神奈川、埼玉など19道県とソフトバンク9984.Tが参加した「自然エネルギー協議会」の設立計画が発表され、休耕田や耕作放棄地などを利用して太陽光発電を推し進め、5000万キロワットの発電量確保を目指すことが打ち出された。新エネルギーへの注目度は大震災後にめざましく高まっている。政府は民間から出てきているこうした流れをうまくつかみ取り、日本経済の活力再構築に利用してほしい。 

* 筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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