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コラム

コラム:中国経済による「ニューノーマル」に備えよ=サフト氏

[13日 ロイター] - 世界は、中国経済による「ニューノーマル(新たな標準)」に備える必要がある。習近平国家主席はこの週末、急速な景気減速の新たな兆候を受け、こうした状況に適応するよう事実上われわれに促した。

新華社によると、習主席は「われわれは、現在の局面における中国経済の特徴に基づいた新たな標準に適応し、冷静な姿勢を維持する必要がある」と述べた。

これは中国にとって単なる低成長ではなく、多額の債務や、デフレの兆候、不動産セクターの問題、非常に限られた政策の選択肢などによって複雑化された低成長を意味する。

世界にとっては、天然資源に対する需要鈍化を意味するだけでなく、労働市場の一段の正常化やインフレ見通しの改善について楽観する理由が少なくなることも意味する。

米債券運用会社パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)が広めた「ニューノーマル」という概念は、過度なレバレッジと、その後に続く金融危機による後遺症が、複雑な問題を伴う低成長の長期化を招くというものだ。

大規模な景気刺激策と、それによる不動産ブームを背景に、中国は危機直後にはそうした影響をある程度うまくかわしたものの、その成長軌道は明らかに現在、低下傾向にある。

今年の貿易は実際減少しており、2014年の経済成長率も、4半世紀近くで最も低いペースとなる7.3%を記録する可能性がある。

こうしたなか、特に興味深いのは中国国家の大きな役割と権力が問題を単純化すると同時に複雑化していることだ。

迅速な決断力を持って行動する習主席の能力は、西側の首脳に比べてはるかに高いが、習氏がとるであろう行動の大部分に国有企業やセクターが絡んでいるという事実によって身動きの取れない状況が明らかになるかもしれない。

12日発表された4月末時点の中国の人民元建て融資残高は、市場予想を下回ったものの、前年比13.7%増と、十分な信用を伴う力強い経済成長に沿った水準に見える。しかし、実際はもう少し複雑だ。

その理由の1つは、そうした信用供与の大部分が必然的に国有企業に集中している点だ。国内総生産(GDP)比230%に相当する中国の債務全体のうち、家計や民間企業が占める割合は3分の1程度。一方、国有企業や、バランスシートに載らない地方政府によるインフラ向けの借り入れは約半分を占める。

<生産性の低いセクターに信用供与>

実際、こうしたセクターのレバレッジはここ数年で拡大。一方、家計・民間企業の債務は縮小している。つまり、経済において生産性が低いことで知られるセクターが、不相応な資本を取り込んでいるのだ。

ソシエテ・ジェネラルのエコノミスト、ウェイ・ヤオ氏は、顧客向けノートの中で「利益を上げない企業に信用を供与することは、量的緩和の流動性を商業銀行の金庫に閉じ込めておくことと大して変わりはない」と指摘する。

こうした状況はおそらく、中国がマネーサプライや信用の高い伸びと、食料品を除く分野での低インフレを同時に実現できている理由を説明している。

中国は過剰生産能力の問題に直面しているが、その大部分は利益の最大化に向けた努力をほとんどしない企業が抱えている。

低インフレ、景気減速、高水準の債務といった状況には通常、金融当局による緩和策が求められる。だが、これは確実なことでは決してない。中国は市場金利の自由化を目指している。しかし、このプロセスは他国で多くの場合、信用バブルを伴ってきた。市場の自由化が依然として中期的な目標であるならば、金融緩和の余地は限られている。

また、中国は借入能力の低下と不動産の供給過剰という問題にも直面している。同国の不動産セクターは大き過ぎてつぶせないため、当局の介入によって救済されるだろうとの見方が大勢を占めるが、コントロールできないほどの価格再調整が起きるリスクは小さいながらも、実在する。

米国同様、多くの家計が複数の不動産を所有しており、開発業者と個人が同時に持ち分を清算しようとするなか、価格の急落が起きる可能性がある。

しかし、これはメーンシナリオではない。より可能性が高いのは、習氏が約束するように、低成長と、改革に関する厳しい選択という新たな標準だ。

世界はこれまでよりもかなり限られた中国の需要に適応する必要があるかもしれない。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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