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コラム

コラム:米国のイラク政策、意識すべきは中国の存在

[23日 ロイター] - イランと協力すべきか否か───。イラク情勢が混乱に陥る中、これは米国政府につきまとう問題であると同時に、イラクでの任務が真に達成されることはないと米国に気付かせる問いかけでもある。

 6月24日、イラク情勢が混乱に陥る中、米国にはイランと協力すべきか否かが問われている。全米イラン系アメリカ人評議会のトリタ・パルシ氏は、米国が意識すべきは中国の存在だと指摘する。写真はオバマ米大統領。13日撮影(2014年 ロイター/Kevin Lamarque)

スンニ派過激派組織がイラクの首都バグダッドへと歩を進める一方、イランでは最高指導者がイラク情勢への米国の関与を非難している。そんな中、イランへの接触は米国の中東政策の調整というより、中東における主目的の再定義を意味する。米国は安定を求めているのか。それとも支配を欲しているのか。

もし米国の目的が安定であるなら、イランとの協力は理にかなう。なぜなら、イランは隣国イラクの安定を必要としており、米国の安全保障を向上させ得る有益な情報と政治的な影響力を持っているからだ。

イランは自分たちが大きな影響力を及ぼせるシーア派政権下のイラクに対し、地理的調和の維持を目的として多大な投資をしてきた。イランにしてみれば、シーア派連合が主導する安定したイラクの方が、スンニ派の過激派が主導する不安定なイラクよりも都合がいい。スンニ派の過激派は、米国よりイランを憎むからだ。そうした理由から、イランは米国と協力する意思を示した。

だが米国が、終わりのない戦争という犠牲を払ってでも中東で政治的・軍事的支配をよみがえらせたいのであれば、話は別だ。

ウィリアム・クリストル氏のような新保守主義者の多くは、どれだけの代償を払っても、米国は中東で支配力を維持しなくてはならないと考えている。こうした見方によれば、安定は支配の二の次とされる。同地域の不安定な情勢が、米国による支配の確保もしくは維持に寄与するならば、それで良しとする考え方だ。

新保守主義者の中には、それを「創造的破壊」と呼ぶ人たちがいる。国内と外交政策の両方に適用する概念であり、新保守主義者のひとりであるマイケル・レディーン氏は「創造的破壊」について、「われわれのミドルネームであり、われわれの社会と国外に及ぶ」としている。

こうした人たちの考えによれば、たとえ共通の敵に対するものであったとしても、イランとの協力は除外すべきことである。その理由は、米国にとっての真の脅威がスンニ派の過激派組織ではなく、中東における米支配体制に対抗するイランだからだ。

彼らは、イランが中東の最高権力として米国に取って代わりたいと考えていると主張する。それは過激派よりも大きな脅威となる。実のところ、不安定さがイランを弱体化させるなら、それは米国にとっては有利に働き、理屈は通る。つまりそれこそが「創造的破壊」なのだ。

とはいえ、中東地域の安定を最優先事項とするなら、イランとの協力は実行可能な選択肢となる。特に、世界的な観点から中東の戦略的重要度を低下させていくのであれば、なおさらだ。

中東で再び地上戦に踏み切るの場合のコストや、米国のエネルギー自給の拡大を考えると、外交の軸足を中東から他に移すことはうなずける。だが、その最大の理由は恐らく、米国の優位性を揺るがす真の脅威は中国からもたらされることにある。

米国の真の脅威はイランではなく中国だと認識するなら、中東地域の安定の方が支配よりも重要だ。イランはうなり声を上げているライオンかもしれないが、中国は飛ぶ鳥も落とす勢いの昇り竜と言える。

イランとの協力は、米国がイラクの混乱に再び巻き込まれるのを回避できるだけでなく、中国もしくは国内問題といった重要度の高い問題に専念することを可能とするだろう。

結局、中東地域で安定より支配を選択することは、米国を永続的な戦争状態に陥らせることになる。オバマ大統領が新保守主義者たちの声に耳を傾けていないのも無理からぬことと言えよう。

*筆者のトリタ・パルシ氏は、全米イラン系アメリカ人評議会の会長。著書に「A Single Roll of the Dice -- Obama’s Diplomacy with Iran」がある。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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