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コラム

コラム:エボラ患者の帰国をどう迎えるか

[4日 ロイター] - エボラ出血熱に感染した米国人のケント・ブラントリー医師は先週末、リベリアから米ジョージア州アトランタのエモリー大学病院に移送された。感染が確認されたもう1人の米国人ナンシー・ライトボル氏も数日中に同病院で治療を受けることになる。だが多くの米国民は、エボラ感染者を帰国させることに強い怒りを表している。

 8月4日、エボラ出血熱に感染した米国人医師らがリベリアからジョージア州の病院に移送されたが、多くの米国民は、感染者を帰国させることに強い怒りを表している。写真は移送先のエモリー大学病院。1日撮影(2014年 ロイター/Tami Chappell)

こうした反応は不当であり、冷酷としか言いようがない。西アフリカより米国の方が、重症のエボラ患者を治療する環境が整っている。米国には、血圧や臓器機能などを徹底監視できる集中治療室がある。血圧は、静脈内輸液やノルエピネフリンのような昇圧剤でコントロールすることもできる。もし血圧が下がり、臓器の機能が低下し始めたときは人工呼吸器を使うことができ、腎機能の低下がみられた場合は透析も可能だ。また、エボラ感染者は免疫力が低下しており、2次感染を起こしやすいが、そうした場合にも、米国ならさまざまな抗菌剤が用意されている。

ブラントリー氏とライトボル氏を通じて米国内にエボラ感染が拡大する可能性は非常に低い。エボラ出血熱は空気感染せず、患者と直接接触するか、患者の体液を介して感染する。

2人が治療を受けているのは、他の患者から隔離された特別病棟内だ。医療スタッフはシフト勤務で個人専用防護服を着用して治療にあたり、病院は米疾病対策センター(CDC)の感染防止ガイドラインに従うことになる。このような態勢は、感染が拡大したギニアやリベリア、シエラレオネでの環境とは対照的だ。

エボラ出血熱の治療法は今のところ存在せず、致死率も高い。だが、このように人々に恐怖と屈辱をもたらす病気はこれが初めてではない。

1984年、ライアン・ホワイト君はエイズと診断された。当時13歳だったホワイト君は、血友病治療のための輸血からエイズウイルスに感染した。当時、エイズウイルスが性交や輸血などを通して感染することは分かっていたが、保護者や学校関係者は、ホワイト君が他の生徒に触れたり、水飲み場を共有したりすることでウイルスが広がることを恐れた。その結果、ホワイト君は学校に行く権利を法廷で争わなくてはならなかった。

ブラントリー氏とライトボル氏が米国でエボラ出血熱の流行を招くということは、ホワイト君からクラスメートにエイズウイルスが感染するよりも起こりえないことだ。米国には過去10年間、エボラに似た出血熱の患者が5人いたが、誰もウイルスを感染させてはいない。

ブラントリー氏とライトボル氏は、エボラ患者を看病する中で自分たちもウイルスに感染した。他の多くの医療関係者や警察官、消防士、兵士たちと同様、2人も職務中のリスクを自覚していただろう。

米国で2人を治療しても感染が拡大するリスクは最小限だが、生存率は劇的に高まる可能性がある。彼らは思いやりと可能な限り最善の医療を受けるに値するのだ。

*筆者は内科医で、感染症と公衆衛生の専門家。医療ジャーナリストでもある。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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