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コラム

コラム:スコットランドの独立否決、英国めぐる不安は晴れず

[エディンバラ 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 英スコットランドの住民投票で独立が否決されたが、これで英国をめぐる不透明感が払しょくされたわけではない。スコットランドの英国残留のために提示された条件は国内の緊張をもたらし、英国の分裂を引き起こす可能性を秘めている。

 9月19日、英スコットランドの住民投票で独立が否決されたが、これで英国をめぐる不透明感が払しょくされたわけではない。投票が終わり帰るエdィンバラの独立賛成派の2人(2014年 ロイター/Russell Cheyne)

19日に開票がほとんど完了した時点で独立反対票と賛成票の割合は55対45で、英国が分裂することはない。

英国の投資家や企業は住民投票の結果にほっとするだろう。英国の人口と国内総生産(GDP)の約1割を占めるスコットランドが残留となれば、恐れられていた経済、金融や通貨での混乱は回避される。金融大手ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)RBS.Lを含むスコットランドに本拠地がある銀行が拠点を移すこともないだろうし、イングランド銀行(英中央銀行)の管轄にとどまることになる。

政治的にも英国は惨事を免れた。ユーロ採用に好意的で労働党支持者が多いスコットランド人が残留すれば、英国が欧州連合(EU)を離脱する可能性も低くなる。よりユーロ懐疑的な与党保守党が2015年の総選挙で敗北する可能性も高くなる。

保守党が総選挙後に政権にとどまり、約束通りEU残留か離脱かを問う住民投票を実施した場合でも、スコットランドを含む英国は残留を選ぶ公算が大きいだろう。英当局者らはスコットランド分裂ではなく、EU加盟でより有利な条件を引き出すための交渉に時間を割くことが可能になる。

それでも、今回のスコットランド住民投票は英国を変えることになる。英主要政党は、住民投票前の世論調査で独立賛成派が勢いを増すなか、独立反対を訴えるために数々の前例がないような譲歩を余儀なくされている。

現在、スコットランド議会は支出の5割以上について決定権があるが、関連する課税については約1割しか決定権がない。英主要政党の党首らによる公約では、権限は大幅に拡大されるとみられる。英政党の権限移譲に関する公約が本当ならば、スコットランドは課税に関し5割以上の決定権を獲得する可能性がある。

ただ、英主要3政党の党首らは権限移譲の時期については合意していても、移譲すべき権限が何なのかはまだ明確にしていない。

さらなる混乱の種となり得る問題は、英政党の党首らが今月16日に、スコットランドに支給される国の一括交付金を決定する「バーネット・フォーミュラ」を維持すると示唆したことだ。この公式の下でスコットランドは現在、平均よりも厚めの予算配分を受けている。ただ、スコットランドが課税でさらなる権限を付与された場合は、理論上は交付金は減らされることになる。

住民投票をめぐる騒ぎが沈静化すれば、英政党の党首らはこれまでの公約について、確約ではないとの立場を取るようになるかもしれない。権限移譲に関する議論はキャメロン政権の弱体化につながる可能性もある。ユーロ懐疑派の首相と交代となれば、EU離脱の懸念が再燃するかもしれない。

一方、住民投票の結果にかかわらず、スコットランドの権限拡大を求める動きは弱まらないだろう。英政府が約束をほごにした場合はスコットランド住民の怒りを買うことになる。一方、スコットランドに有利過ぎる合意が成立した場合は、ウェールズや北アイルランド、さらにはイングランドの経済状況が悪い地域で住民の不満が募ることになるだろう。

地方分権の動きが広がれば、英国は連邦国家の様相を強めることになる。そうなればより分権的、進歩的、説明責任のある国となるが、構造的に複雑で効率が悪くなるだろう。ポンドは住民投票の結果に対する安心感から対ドルで上昇したが、今後の政治の不安定化を投資家が見越すようになった場合、市場の安定は一時的となるだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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