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コラム

コラム:先進国中銀の新たな合言葉は「干渉」

[シンガポール 23日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 先進国の中央銀行は新たな合言葉を共有している。それは「meddle(干渉)」だ。超低金利で物価がまったく上向かず、居心地が悪いほどレバレッジ比率が高い世界においては、中銀は金融の安定をもたらすものであるならば何でも手を出さざるを得ない。

12月23日、Andy Mukherjee氏は、先進国の中央銀行は新たな合言葉を共有している。それは「meddle(干渉)」だ、と書いた。ECBのビル。4日撮影(2014年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

こうした新しい枠組みは多くの中銀にとって喜ばしくはない。中銀とすれば、できることなら経済という馬を、金利という「穏やかな鞭」を使って導いていきたい。しかし金融危機から6年が経過しても、大半の国はなお険しいディスインフレの道筋をのろのろと歩き続けている。そこで一鞭をくれれば、馬はあらぬ方向へと逸走してしまいかねない。だから中銀は、マクロプルーデンス政策という道具でスピードを制御する必要があるのだ。

このマクロプルーデンス政策は今後身近な存在となり、長期にわたって威力を発揮するだろうから、例えば「マクロP」といったより親しげな名称にした方がぴったりくる。

同政策の概念には、非公式の指導から金融業界全体への融資量制限、その制限をどんな担保を基準に、またどの融資先に行うかまで、多様な側面がある。不動産やその他のいくつかの資産クラスの価格を抑える上では、課税措置も追加的な選択肢となる。いずれにしてもマクロプルーデンス政策の考えとは、資金調達コストを変更せずに、潜在的な金融の脆弱性の源を直接コントロールするということだ。

これらの手段は数十年間行使されない局面を経て、今復活しつつある。過去数年でみると、カナダやノルウェー、スウェーデン、香港、シンガポールといった国・地域が住宅ローンにさまざまな制限を課してきた。オーストラリアもまた、同様の制限を検討中だ。今年6月にはイングランド銀行(英中央銀行、BOE)が、銀行に対してリスクの高い住宅ローンの貸出額を融資総量の15%までとするよう要請した。米連邦準備理事会(FRB)は銀行に、高リスクの債務が膨れ上がっていると警告を発している。

ではマクロプルーデンス政策は、馬に適切な道を走らせ続けているだろうか。現実をみると、そうだと言える部分と言えない部分が混在している。国際通貨基金(IMF)のエコノミストまとめた最近の調査研究では、先進国では借り手の行動に影響を与える政策の方がより効果的である可能性もうかがえる。新興国では複数の措置を同時に実施する必要があるかもしれない。

大半の先進国にとっては、全面的な資本規制は行き過ぎた制限だ。ただ、伝統的に金融業界に対しては指導という形でしか鞭を鳴らしたことがなかった米国でさえ、マクロプルーデンス政策を駆使することを考えつつある。FRBのイエレン議長は今年7月、レバレッジや短期借り入れの規制などの政策が、今後は金融安定化で「主要な役割」を果たすと主張した。中銀の「干渉主義」が、新しい標準になろうとしている。

●背景となるニュース

・FRBのイエレン議長は今年7月の講演で、「金融政策は金融安定化促進の手段としては著しい制約に直面している」と主張し、その理由として借り入れコストと過剰レバレッジの関係性が十分わかっていないことと、金利の調整が「物価上昇率や雇用のボラティリティを高める」ことを挙げた。結果として、金融機関の監督・規制というマクロプルーデンス政策が、金融安定を確保する上で「主要な役割」を果たす必要があるとしている。

・IMFのエコノミストは今年8月に公表した「マクロプルーデンス政策が金融システムの脆弱性を和らげる」と題した論文で、「先進国では借り手ベースの政策手段がより有効と見受けられる。新興国ではマクロプルーデンス政策のいくつかのパッケージが効果がより大きいという相当程度の証拠がある」と分析した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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