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コラム

コラム:蓄積された原油安の恩恵まもなく到来

[ニューヨーク 27日 ロイター] - エネルギー価格急落に苦痛を感じていた各国経済や投資家は、その恩恵の方をまもなく感じられるようになるだろう。原油安が資源国や資源企業に与えるマイナス影響はすぐに市場に織り込まれる一方、原油安によるプラス影響が消費者や経済全体に行き渡るには若干時間がかかるからだ。

 1月27日、エネルギー価格急落に苦痛を感じていた各国経済や投資家は、その恩恵の方をまもなく感じられるようになるだろう。仏ニースのガソリンスタンドで昨年12月撮影(2015年 ロイター/Eric Gaillard)

北海ブレント原油先物は昨年6月以降で約60%も急落し、その過程で複数の犠牲者が出た。国家経済の多くを原油収入に依存するロシアは、ウクライナ問題をめぐる西側からの制裁もあり、通貨ルーブルと株式市場が急落した。石油会社が発行した高利回り債も大きく売り込まれた。

エネルギー価格の下落は、主要先進国では物価の下押し圧力となり、各国中央銀行の政策決定に緩和方向の影響を与えることで、世界的な金利低下にも寄与したとみられる。

英大手資産運用会社スタンダード・ライフ・インベストメンツのキース・スキーオー最高経営責任者(CEO)は、顧客向けリポートの中で「原油価格下落の影響は現在、ロシア通貨や英石油会社の株価、米高利回り債市場のエネルギー関連債に織り込まれている最中だ」と指摘。そのうえで「(原油安は)需要サイドより供給サイドの要因の方がむしろ重要だとわれわれは結論付ける。2015年春に向けては、安価なエネルギーによる恩恵が個人消費や非石油企業の投資に波及するのが見えてくるはずだ」としている。

ただ、原油安が世界経済減速の予兆ではないかという懸念は根強い。実際、過去にはそうだったからだ。

確かに中国や一部のユーロ圏で顕著なように、需要は急速に減退している。しかしそれ以外の要因は、原油安を凶報の前触れだと解釈するには矛盾を示している。一例を挙げると、幅広い一次産品の価格は、原油の半分程度しか下落していない。

その一方で、原油の供給サイドを見れば、新たな技術で採掘可能になったシェールオイルが数年前から市場に流れ込んでいる一方、産油大国のサウジアラビアは減産しないと決めた。

国際通貨基金(IMF)は、エネルギー価格下落の60%は供給サイドの問題に起因すると推計している。

<遅れてくる恩恵>

重要なのはここからだ。IMFと世界銀行は最近、2015年の世界経済の見通しを下方修正した。しかしながら、IMFも世銀も、ガソリン価格の下落や企業のエネルギーコスト削減は成長に寄与すると口をそろえる。原油安の経済成長率押し上げ効果について、IMFは2015年に0.7%ポイント、2016年に0.8%ポイント、世銀は「中期的に」約0.5%ポイントと試算している。

バークレイズのアナリストチームは、過去30年間の5回の原油安局面を分析。原油安は経済成長の減速時に起き、その6─9カ月後に景気回復が訪れる傾向が明らかになったとし、「向こう数カ月以内に購買担当者景気指数(PMI)と小売売上高へのプラス効果が現れるだろう」としている。

これは特に米国に当てはまる。エネルギー税が相対的に低いことから、原油安の効果が消費者に直接届きやすいからだ。

エネルギー価格の下落を実体経済における量的緩和(QE)のようなものと考えてみよう。

QEによって、主に富裕層が持つ金融資産の価格は上がったが、彼らはそれによって消費は増やさないだろう。しかし、ガソリンや公共料金の値下がりは中流層に幅広く行き渡り、彼らはその恩恵を消費に回す可能性が高い。

誤解がないように言っておくと、ロシアやベネズエラなどの負け組は、今後も苦境が続き、そうした国々の設備投資や消費は打撃を受けるだろう。

最終的には、エネルギーの過剰生産は行き詰まり、産油国で計画されていた投資は棚上げになるだろう。そうなれば、2016年のどこかの時点で、エネルギー価格は再び上昇する可能性が高い。

それまでの間は、われわれは目に見える形で利益を享受できるだろう。つまり、主要国での消費と投資の拡大と、原油安がもたらした低金利だ。言ってみれば、それは期間限定の良いデフレのようなものかもしれない。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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