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コラム

コラム:中国アリババが直面する「2つのリスク」

[29日 ロイター] - 政治リスクだけなら無視できるかもしれないが、執行リスクが大きいとなればそうはいかない。中国電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディングBABA.Nは、ここ2日で両方のリスクが鮮明になった。規制当局から管理不行き届きを批判された翌日に、10─12月の売上高が予想に届かず失望を誘ったのだ。

 1月29日、中国電子商取引大手アリババは、政治と成長という2つのリスクに直面している。写真はアリババのロゴ。浙江省杭州の本社で昨年11月撮影(2015年 ロイター/Aly Song)

アリババ株は2日で12%超も急落した。もっとも、昨年9月の新規株式公開(IPO)時に比べれば、なお33%ほど高い。

アリババ株の投資家にとって気掛かりなのは、利益が予想を上回りながら売上高は予想に届かないという、まるで成熟企業のような姿を見せたことだ。アリババ株の予想株価収益率(PER)は50倍程度に達しているというのに。

中国国家工商行政管理総局(SAIC)は28日、アリババの管理不行き届きにより同社プラットフォーム上で偽造品や違法ビジネス、贈賄が横行していると批判する文書をウェブサイトに掲載した。SAICはまた、IPOに干渉しないためこの報告を遅らせたとしており、事実なら投資家の利益は無視された格好だ。

アリババ幹部らは、この文書を事前に見せられておらず、発表延期を頼んだ事実もないと猛反発。29日には文書がウェブサイトから消えた。

真相は知る由もないが、はっきりしているのは、中国では民間企業が政府の隷属物であるという事実だ。アリババが巨大なフランチャイズ網を築けたのは政府の承認のおかげだが、その当局の一部が今、同社にやいばを向けている。

<熱い産業、熱い銘柄>

中国の民間企業が政府の介入によって困難に直面した例は、最近もあった。昨年末ごろ深セン当局は突如として不動産開発会社、佳兆業集団への開発承認を不透明な理由で差し止めた。同社幹部らはその後辞任し、同社はデフォルト(債務不履行)を起こした。

アリババの件と根は一つだと断定はできないが、中国が現在、汚職取り締まりに乗り出しているのは事実だ。

興味深いことに、投資家は当局の摘発よりも売上高が予想を下回ったことの方に、大きく反応したようだ。つまり投資家はアリババの成長株という側面をより重視しているのだろう。確かに同社は売上高を40%も伸ばしたのに株が売られたわけで、今回の決算発表までは成長株の名に恥じない銘柄だったといえる。

アリババ株が政治問題に対して業績ほど敏感に反応しないからといって、政治問題が重要でないということにはならない。IPO以来のアリババ株投資家の多くはおそらく、中国の政治リスク分析に多くの時間を費やしてはいないだろう。彼らは米国的な考え方を信奉していたり、相場のトレンドを追うヘッジファンドや、最新の流行銘柄の組み入れを顕示したいミューチュアルファンドの運用担当者であったりする。

「避けたい株を1銘柄だけ選ぶとすれば、最もホットな産業の最もホットな株にするだろう。投資家なら誰でも通勤途上でその名を耳にし、世間の圧力に屈して多くは買ってしまうような、最ももてはやされてる銘柄だ」。25年以上前に著名投資家ジャック・リンチ氏はこう記した。

中国と電子商取引、双方をめぐる熱気が交差する場所に位置するアリババは、そうした銘柄に極めて近い。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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