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コラム

コラム:ソフトバンクGの影響力低下を象徴、「SPAC」設立

[ロンドン 13日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ソフトバンクグループ9984.Tの「ビジョン・ファンド」が立ち上げようとしている特別買収目的会社(SPAC)であれば、これほどバブル的要素を色濃く映し出す例はないだろう。だが一方でソフトバンクが今なお、巨額の中東マネーを取り込めるのであれば、わざわざSPACを検討する姿は想像しにくいところだ。これは「根拠なき熱狂」がピークに達したどころか、実際には同社の影響力の弱まりを表している現象にほかならない。

 ソフトバンクグループの「ビジョン・ファンド」が立ち上げようとしている特別買収目的会社(SPAC)であれば、これほどバブル的要素を色濃く映し出す例はないだろう。だが一方でソフトバンクが今なお、巨額の中東マネーを取り込めるのであれば、わざわざSPACを検討する姿は想像しにくいところだ。写真はソフトバンクのロゴ。2014年12月、都内で撮影(2020年 ロイター/Toru Hanai)

ビジョン・ファンドを主導するラジーブ・ミスラ氏は12日の会合で、SPAC設立構想を明らかにした。他の多くのSPACと同じく、新規株式公開(IPO)で資金を集め、上場態勢が整っている非公開企業を物色する方針だ。ただ事情に詳しい関係者の話では、ビジョン・ファンドのSPACにはソフトバンクグループも自ら資金を投入するかもしれない。アクシオスが伝えるところでは、例えば経営不振に陥ったウィーワーク運営のウィーカンパニーなどソフトバンクグループの既存出資先を買収して株式公開させることがSPAC設立の目的ではないという。

ある意味、SPAC立ち上げというのはあれこれ悩む問題ではない。リフィニティブによると、今年これまでのSPACの資金調達額は500億ドルと、昨年全体の140億ドルよりずっと多い。共和党の元下院議長のポール・ライアン氏までこの波に乗る中で、世界で一番有名なハイテク投資家であるビジョン・ファンドが参入しない手はないだろう。そして魅力的な見返りを得ることが可能だ。スポンサー、つまり今回ならばビジョン・ファンド運営会社でミスラ氏が最高経営責任者(CEO)を務めるソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ(SBIA)が、通常はSPACの株式の2割を取得する。だからミスラ氏がもしSPACを通じて5億ドルを調達し、買収によって企業価値を2倍に高めれば、SBIAは実質的にゼロから2億ドルの時価総額を生み出すことになる。

もっともそうした収支計算など、当初の規模で986億ドル、サウジアラビアの政府系ファンドなど外部投資家の出資額で655億ドルに上るビジョン・ファンドからすれば実にちっぽけな話だ。Breakingviewsがソフトバンクグループの開示資料に基づいて試算したところでは、SBIAは外部出資者から受け取る資金運用手数料だけで、最大で毎年3億0500万ドルを受け取れる。

ビジョン・ファンドの成績が期待外れなのは間違いない。6月末時点の投資額715億ドルに対して、出資者への支払額は752億ドルにとどまった。ただ投資規模が空前の大きさであるだけに、ビジョン・ファンドが出資するウーバー・テクノロジーズのような企業は、赤字傾向の業界でも理論的にはライバルとの生存競争に勝利できる。

ところがミスラ氏は、中東マネーの支援を得てさまざまな業界の構造を一変させようとする代わりに、SPAC設立で一般投資家から新たな資金を公募しようとしている。まさにソフトバンクグループの影が薄らぎ、控えめな姿勢になったことを物語っているではないか。

●背景となるニュース

*ソフトバンクグループの「ビジョン・ファンド」を率いるラジーブ・ミスラ氏は12日の会合で、特別買収目的会社(SPAC)の立ち上げに向けて外部から資金を集めたい考えを示した。

*ソフトバンクグループ自体も、SPACに資金を投じる可能性がある。事情に詳しい人物がBreakingviewsに明らかにした。SPACの規模はまだ決まっていない。

*アクシオスによると、SPACの新規株式公開(IPO)の幹事はゴールドマン・サックスとシティグループが務めるとみられる。SPAC設立の目的は、ソフトバンクグループの既存投資先の買収ではないという。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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