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コラム

コラム:ブレイナードFRB理事、次期財務長官の「適温候補」か

[サンフランシスコ 17日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米次期大統領就任が確実となったバイデン氏が、進歩主義派の信任を得られる人物を次期財務長官に選ぶとするなら、米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード理事で決まりかもしれない。エコノミストとしての職歴もある彼女は、万人が金融サービスを受けられるようにする「金融包摂」の必要性や気候変動リスクについて熱心に発言してきた。ただ最終的に財務長官指名人事を承認するのは上院であり、1月のジョージア州での決選投票次第で共和党が上院多数派を占める可能性がある。そう考えるとブレイナード氏の指名はさほど確実ではないかもしれないが、それでも良い人選であることには変わりない。

11月17日、米次期大統領就任が確実となったバイデン氏が、進歩主義派の信任を得られる人物を次期財務長官に選ぶとするなら、米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード理事で決まりかもしれない。写真は2017年3月、マサチューセッツ州ケンブリッジの大学で講演するブレイナード氏(2020年 ロイター/Brian Snyder)

ブレイナード氏が、より左派的な考え方を持っているのは明白だ。彼女は2019年、銀行の自己勘定取引を制限する「ボルカー・ルール」について、大手銀行の順守基準を緩めることに反対。銀行による差別的な疎外から低所得層を守る「地域再投資法(CRA)」の改革も主導した。FRBが大手銀行に対し、資本の保全のため自社株買いを停止するよう求めた際には、さらに厳しい措置が必要だし配当も一時中止すべきだと主張した。

ただブレイナード氏はこれまで、既得権益層に優しい姿勢を示した場面もみられ、これは左右両方から警戒される可能性がある。彼女がオバマ前政権で国際担当財務次官を務めた当時、財務省は中国の「為替操作国」認定を見送った。彼女は環太平洋連携協定(TPP)のような自由貿易協定の推進派でもある。

財務長官の主要業務の中には、多くの米金融規制当局と円滑に連携し、危機対応の準備を整えておくことがある。ブレイナード氏は、ファーガソン元FRB副議長やイエレン前FRB議長など他の財務長官候補と同様、いずれの面でも実績がある。FRBのCRA見直し提案は、このルールに関わる他の金融規制当局との溝を埋めることを狙いとしている。財務省時代のブレイナード氏は、金融危機での「大不況」への世界的な対応を巡り、米政府の取り組みを支援した。またギリシャ債務危機の拡散の可能性について早期に警告を発し、そうした地域に強力な救済策を取るよう欧州に圧力をかけた。

ウォール街にとってさえ、ブレイナード氏は「ゴルディロックス」(適温)候補かもしれない。現職のムニューシン財務長官と異なり、ブレイナード氏は銀行出身者ではないが、コンサルティング会社マッキンゼーに勤めたことがある。そして規制強化を支持してはいるが、銀行解体を求める急先鋒ではない。

そう考えると、共和党が上院で多数派を占めたとしても、ブレイナード氏は受け入れやすい候補かもしれない。もっとも、1月の決選投票で共和党が過半数を占めない結果になった場合でも、民主党の進歩主義派と中道派がブレイナード氏承認で意見が一致するとは限らないが。ただ、どちらに転んだとしても、経済学に通じ、社会問題に配慮し、政治的に現実主義者のブレイナード氏は手堅い人選と言えるだろう。

●背景となるニュース

*ロイターは8日、バイデン氏が選ぶ次期財務長官の有力候補にブレイナードFRB理事が入っていると報じた。その他の候補にはサラ・ブルーム・ラスキン元FRB理事が挙がっている。

*米教職員保険年金連合会(TIAA)は17日、やはり財務長官候補とされるファーガソン元FRB副議長が3月に最高経営責任者(CEO)を退くと発表した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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