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コラム

コラム:マクロ型ヘッジファンドの人気復活、コロナ禍で環境に変化

[ロンドン 23日 ロイター] - 評判を大きく落としていたヘッジファンドが今年、この数十年で最高のスタートを切った。マクロ型のヘッジファンドですら人気が復活しているほどだ。

 4月23日、評判を大きく落としていたヘッジファンドが今年、この数十年で最高のスタートを切った。マクロ型のヘッジファンドですら人気が復活しているほどだ。3月、ニューヨーク証券取引所で撮影(2021年 ロイター/Lucas Jackson)

ビデオゲーム販売のゲームストップ株を巡る空売り筋とデイトレーダーの攻防、アルケゴスやグリーンシルの問題などで、2021年はヘッジファンド業界にとっての悪夢の年のように思われている。

しかし調査会社ヘッジファンド・リサーチ(HFR)の最近のデータによると、この数カ月に企業絡みの出来事や暗号資産(仮想通貨)、マクロ経済で大きな動きがあったことにより、ヘッジファンドの運用資産は第1・四半期中に2010億ドル急増し、3月末時点で3兆8000億ドルを超えた。

第1・四半期のリターンは全タイプの平均が6%。S&P総合500種株価指数の上昇率が5.8%なので控えめな水準に見えるかもしれないが、内訳を見るとM&A(買収・合併)などを材料に取引されるイベント・ドリブン型は平均7-8%で、暗号資産ファンドに至っては120%にも達した。

主に通貨、コモディティ、金利に投資するマクロ型はこの数年間、経済の変動の小ささや、ゼロに近い金利とインフレ率などが原因で運用成績が低迷していたが、やはり資金が急激に流れ込んだ。

HFRによると、マクロ型の運用資産は第1・四半期に144億ドル増えて6180億ドルとなり、同期の正味の新規投資は推計8億7500万ドル。1990年代の黄金期には遠く及ばないとはいえ、状況は変わりつつある。

超緩和的な金融政策および財政政策に加え、新型コロナウイルス感染収束後の景気回復への期待感からインフレリスクが注目されるようになり、コモディティ型は6-7%のリターンを達成した。

ただ同じ理由から、債券ファンドのリターンはマイナス4%となり、それを過去最高値を更新した株価が覆い隠した。この結果、マクロ・ファンド全体のリターンは4%超と、多くの株式・債券ファンドが明暗を分けているのに比べると良好な印象になった。

<素早く大規模な経済対策>

ソシエテ・ジェネラルのアライン・ボコブザ氏は、マルチアセット型の平均的な成績がこのように「平ら」に見えることに注意を促す。

「株式市場の最高値更新が毎日のように紙面を賑わし、(エールフランスの例に見られるように)政府の介入が積極化して社債市場を支えているにもかかわらず、マルチアセット型は運用成績で苦しんでいる」と言う。

利回りがゼロ近辺の債券がもはや、株式の資産価値下落の緩衝材として有効でないなら、マルチアセットのポートフォリオには何か別の物が必要だ。

まさにこうした観点から、長期目的のストラテジストは、ヘッジファンドが元来期待されている役割に再び目を向け始めている。

JPモルガンのジャン・ロイス氏は、マクロ経済の変動の小ささ、「グレートモデレーション」と呼ばれる市場の長期的安定は、今や終焉を迎えた可能性が高いと見ている。しばしば雇用創出を伴わない鈍い景気回復は、政治的、経済的に大きすぎる代償をもたらした。

ロイス氏は「素早く、大規模に、という今の政策により、ビジネスのサイクルは短くなり、マクロ経済のボラティリティは増大している」と指摘した。

ロイス氏はこの結果、「長期目的の投資家にとってマクロヘッジファンドの魅力が高まっている」と話す。「この10年間、戦略的ポートフォリオにヘッジファンドが含まれるのを目にしたことはなかった。ヘッジファンドの運用成績が全体として、ボラティリティが等しい債券・株式ポートフォリオを下回っていたためだが、今では変化が起きつつある」と言う。

富裕層向けファンドの運用担当も同じ見方だ。ピクテ・ウェルス・マネジメントのシーザー・ペレス・ルイス最高投資責任者は、ヘッジファンドにとって好機をもたらすコロナ後の世界がすぐそこまで来たと指摘。つまり、銀行などコロナ禍の直撃を受けたセクターでM&Aが活発化する上、債券と株式の相関性がこれほど高いなら新たな分散化手段も必要になると言う。

ルイス氏は、今後は「誰がツケを払うのか」が鍵になり、それは国ごとに異なるという観点からもマクロ型ファンドを有望視していると述べた。「ヘッジファンドのマネジャーにとって、アルファ(市場平均に対する超過リターン)を上げるまたとない機会」だからだという。

「今年成績を上げられないファンドは、アセットクラスに別の問題を抱えているということだ」とルイス氏は述べた。

(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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