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コラム

コラム:家賃も上昇の兆し、沈黙のサービス価格がCPI押し上げへ

[東京 3日 ロイター] - 日本の物価上昇率が一段と高まる兆しが出てきた。長く横ばいが続いてきたサービス価格に上昇の兆しが見え始めてきたからだ。食品値上げの動きが継続する中で、2023年のどこかで消費者物価指数(CPI)総合の上昇率が3%台に乗せる可能性が現実味を増している。そのことは物価上昇が短期間で収束せず、政府・日銀の想定を超えて長期化するリスクの増大につながる。

 8月3日、日本の物価上昇率が一段と高まる兆しが出てきた。長く横ばいが続いてきたサービス価格に上昇の兆しが見え始めてきたからだ。写真はスカイツリーから見た東京都の景色。2021年8月撮影(2022年 ロイター/Marko Djurica)

<8月と10月に食品値上げ噴出>

全国CPIの先行指標となる7月東京都区部CPIをみると、最近の物価変動に変化が生じていることがわかる。CPI総合が前年同月比2.5%増、コアCPI(除く生鮮)が同2.3%増、コアコアCPI(除く生鮮、エネルギー)が同1.2%増だった。中でも日銀が重視するコアコアCPIは、前月比0.3%増となっており、このペースで推移すると年間では3.6%の上昇となる。前年7月が前年同月比0.4%減だったことと比較すれば、物価の基調が大幅に強くなってきたことがわかる。

この物価押し上げの主役は、食品値上げと言える。7月東京都区部における生鮮を除く食料の寄与度は0.77となり、エネルギーの1.13に次ぐウエートを占めた。

この食品値上げの波は、これからさらに大きくなることが予想されている。帝国データバンクが今月1日に公表した食品メーカーの値上げ調査の結果によると、8月だけで2431品目が値上げされる予定で、年内の累計では2万品目になるのが確実という。さらに10月には6305品目の値上げが計画され、「値上げの秋」とも言えそうな展開になる。

原材料価格の上昇や円安などのコスト上昇分を価格転嫁することに対し、企業の心理的なハードルが低くなっていることがうかがわれる。実際、今年秋に2回目、3回目の値上げが集中していると帝国データバンクは指摘する。

<マンション賃料に上昇の兆し>

そこにサービス価格の引き上げが重なると、日本の物価上昇も加速感が出てくることになる。7月東京都CPIをみると、生鮮食品を除く財の価格は前年同月比5.3%増と高くなっている。これに対してサービスが同0.2%増と低いため、全体の上昇率を大幅に押し下げている。

ところが、サービスの中で大きなウエートを占める家賃の動向に変化が出始めている。アットホームと三井住友トラスト基礎研究所が共同で開発した賃貸マンションの成約事例に基づく賃料インデックスによると、今年1─3月期に東京23区の賃料インデックスが前期比0.62%増と6期ぶりに上昇に転じ、東京に隣接する地域でも上昇傾向を示している。

その他の地方都市では上昇と低下が入り混じっているものの、首都圏での基調は全国的な動きに先行する可能性があり、家賃が上がり始める兆しと見ることができる。

不動産業界の関係者によると、足元では賃料値上げの動きが広がり始めているという。

最近の光熱費や物流費などの上昇により、賃貸物件の所有者の管理コストはかなり上昇しており、利益率を保つための家賃値上げのインセンティブはかなり蓄積されているとみられる。

また、すでに公表されているように来年4月ごろにはJR各社、私鉄、東京メトロなどの鉄道運賃の値上げが予定され、バス料金は今年秋に引き上げられるケースもある。サービス価格はいったん値上げの動きが出てくると広範囲に波及し、その動きは約1年間ほど継続する可能性がある。

さらに足元でいったん下落基調をみせている国際商品価格も、ロシアとウクライナの戦争が年明けにもつれ込むなど長期化した場合には、再上昇する可能性が専門家の間で指摘されている。

急速な円安が進行し始めた今年3月初めに、ドル/円は115円台だった。いったん20円を超える円安となったわけだが、その「円安効果」による輸入コストの上昇は秋以降に本格化する。

このように考えると、日本の物価は上昇率がこれから加速する可能性が高いと思われる。その際に重要なのは、消費者の「痛よう感」だ。消費者の実感に近いと言われている持ち家の帰属家賃を除く物価上昇率は、7月東京都区部で前年同月比3.0%増と6月の同2.8%から上昇した。

物価高が消費に与えるマイナスの影響については、ドイツで衝撃的なデータが公表された。6月小売売上高指数が、前年比8.8%低下と、1994年の統計開始以来、最大の落ち込みとなったのだ。7月のCPIが前年同月比8.5%増となったことが影響した。

日本でも「物価高から消費低迷」という現象が発生するのかどうか。岸田文雄内閣の支持率を左右する大きな問題として、物価高が浮上すると筆者は予想する。

●背景となるニュース

・東京コアCPI+2.3%、14年12月以来の上昇率 食品・電気代など値上げ

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