for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up
コラム

コラム:中国の債務問題、日韓の二の舞を避けられるか

[シンガポール 6日 ロイター BREAKINGVIEWS] - レバレッジ漬けの国はどこも似たようなもので、急速な経済成長と幸福感を味わう。しかし、債務返済に苦しむ国の場合、不幸せの感じ方は国によってそれぞれ異なる。目下、中国がさえない状況に陥る順番を迎えている。

 10月6日、レバレッジ漬けの国はどこも似たようなもので、急速な経済成長と幸福感を味わう。しかし、債務返済に苦しむ国の場合、不幸せの感じ方は国によってそれぞれ異なる。目下、中国がさえない状況に陥る順番を迎えている。写真は100元紙幣。2013年11月撮影(2014年 ロイター/Jason Lee)

国際決済銀行(BIS)がまとめたデータによると、金融を除く企業部門の借り入れは国内総生産(GDP)比で年平均150%まで膨らんだ。6年前は100%を下回る水準だった。中国の不透明な影の銀行システムの背後に隠れた借金を考えると、この金額は正確ではないだろう。さらに警戒すべきことには、人口の高齢化に伴って中国の潜在成長率が鈍化するにつれて、債務はどんどん積み上がっているのだ。

日本と韓国はこの種の問題に対する誤った対処法を示す2つの対照的な事例となる。両国は企業部門の債務負担軽減に対して非常に異なる戦略を追い求めた。

インタラクティブグラフィックス「中国の将来:日本か韓国か」は以下のアドレスをクリックしてご覧ください。

bit.ly/1uvF6J4 

日本では企業部門の借り入れは1990年代初めまでにGDPの140%に相当する水準に達した。今日の中国と似た状況だ。当時も借り入れの増加は急速なペースだった。企業が債務返済を始めると、日本は民間の資金需要の低迷を公的債務の拡大で補い、その額はGDPの200%を超える水準まで膨らんだ。

実際に企業部門の債務は縮小した。しかし、日本はこの過程において20年におよぶデフレ下の景気停滞期に陥る。経済は昏睡状態に陥った。民間の資金の借り手が休業状態となり、銀行は国債の3分の1を保有するに至った。債券利回りが急上昇すれば、金融システムに対して巨額の評価損が発生する可能性がある。

韓国では非常に異なる結果となった。韓国が1997年のアジア危機で打撃を被った時、企業部門の債務はGDP比約100%で、1990年代初めの65%から上昇していた。その後の債務返済は日本ほど深刻なものではなかったが、韓国政府は異なる対応をとった。韓国政府は最後の借り手にはならず、その代わりに消費者が債務を積み上げて最終的に2003年のクレジットカード危機を招いた。

問題はそれ以降悪化している。家計の債務比率は現在GDPの80%に達し、98年の50%から上昇している。今や韓国の消費者はお金を使おうとしない。従って企業も投資しようとしない。韓国の財務相は最近、韓国が「デフレの初期段階」に突入したと警告した。

中国は、どうすれば日本または韓国の二の舞を避けられるのだろうか。中国には1つ大きな強みがある。銀行の預金金利が政府の支配下にあるという点だ。預金金利がひとたび自由化されれば、資金調達をめぐる激しい競争で銀行側のコストが上昇する可能性があり、リスクの高い借り手を追い求める動きは加速するだろう。そうなれば、ただでさえ疲弊している金融システムは追い詰められる。韓国が金融危機を経験したのは預金金利自由化から1年足らずのことだった。

中国にはいくつかの異なる対応が必要だ。1つには、可能なら日本型の不動産バブルの崩壊を防ぐこと。最も供給過剰となっている不動産市場における住宅購入者に対する「購入支援」策を、進行中のプロジェクトに限定して適用すれば、開発業者は在庫を一掃し、債務返済に役立てることができる。中国の財政赤字の規模は比較的小さく、手を打つ余地は残されている。

経済の不均衡是正も寄与するだろう。ある程度のGDP拡大ペースの減速はもはや避けられない。しかし、生産者の実質的な債務は依然として増大が続いている。これは生産物に対する価格が30カ月連続で下落し続けているからだ。将来の債務危機を防ぐため、中国は鉄鋼業をはじめとする過剰能力を抱えた産業の生産設備を廃棄する必要がある。政策決定者は、沈滞した輸出市場向けから、高成長が見込める国内消費向けに生産を調整すべきでもある。

中国は、成長のために若年人口の増加をこれ以上頼りにすることはできない。2025年までに中国社会は日本の1990年代初めと同じぐらいに高齢化する。そうなれば最善の策として残るのは、国有企業の改革をはじめとする生産性の向上しかない。1960年に日本の労働者の生産性は米国やカナダの労働者の30%にすぎなかったが、1980年代初頭には70%にまで高まった。日本の生産性に陰りが見え始めると、国の債務が問題視されるようになった。似たような事態が財閥支配の強い韓国でも起きている。

急成長に安心した日本や韓国に残ったのは、長年にわたり改革が手つかずのままの企業部門だった。中国は両国を見習って同じような不幸のシナリオを描こうとしているのだろうか。

●背景となるニュース

・中国鉄鋼最大手の国営中鋼集団(シノスティール)幹部は23日、ロイターに対し、債務増大の結果として債務再編を検討しているとの見方を否定した。

・中鋼集団は金融雑誌「財新」に対し、顧客の支払い滞納により財務上の問題に直面していることを明らかにした。しかし、100億元(16億3000万ドル)に上る滞納借入金の重さに苦しんでいるとの噂は否定した。

・太陽光パネル製造のチャオリ・ソーラー・エナジー(上海超日太陽能科技)は3月、社債の利払いができずに国内債市場で初のデフォルト(債務不履行)となった。

*(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

*グラフィックスのリンクを更新しました。

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up