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コラム

コラム:大塚製薬の米社取得、日本勢による新たな割高買収例に

[ニューヨーク 2日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 大塚ホールディングス4578.Tの子会社である大塚製薬が、バイオベンチャーの米アバニア・ファーマシューティカルズAVNR.Oを35億ドルで買収する計画は、日本の製薬会社による割高な企業合併・買収(M&A)の歴史にさらなる1ページを加えることになる。

 11月2日、大塚ホールディングスの子会社である大塚製薬が、米バイオベンチャーを35億ドルで買収する計画は、日本の製薬会社による割高な買収例の歴史に新たな1ページを加えることになる。写真は2010年、東京証券取引所で上場会見をする大塚ホールディングスの樋口達夫社長兼CEO(2014年 ロイター/Toru Hanai)

確かに大塚製薬は、来年主力製品の統合失調症治療薬の特許が失効する前に、新しい買収を提案する必要に迫られている。だが今回の取引は焦りの色が見える。

日本の製薬会社が世界のトップ10に入っていないのは、それなりの理由が存在する。彼らの研究施設は低予算に苦しみ、人気医薬品をほとんど生み出していない。日本政府もまた新薬の価格を抑え込み、利用可能な場合は安価な後発医薬品(ジェネリック)の採用を推進しつつある。

しかし大塚製薬は、より大きな困難に直面している。同社売上高のほぼ40%をもたらしているのは抗精神病薬「エビリファイ」で、その米国における特許が来年4月に期限を迎える。そうなれば同社の事業は土台から崩れかねない。

こうした事態に対応するため同社はいくつかのやや疑問に思えるディールを締結してきた。昨年には米バイオテクノロジー企業のアステックスを8億8600万ドルで買収した。アステックスは限られた売上高しかない承認薬と、潜在的な魅力はあるが販売までにまだ何年もかかりそうな治験薬しか持っていない。もしもこの治験薬がうまく承認にこぎつけなければ、大塚製薬の買収額は得られる利益に比べて極めて高過ぎることになる。

アバニア買収も同じような種類の賭けで、しかも規模がもっと大きい。アバニアは今のところ承認薬は1つきりで過去4四半期の売上高は約1億ドルにすぎない。この薬はアルツハイマー型認知症患者の情動調節障害治療に用いられる。

大塚製薬は、この薬がアルツハイマー型認知症に伴う行動障害に有効に作用するとも期待してている。しかし結局は効果が証明できず、売上高が減っていく恐れもある。これは現実的な懸念で、同薬はいくつかの試験で症状改善に失敗しており、保険会社からは既にその価格の高さに批判が出ている。

これまで他の日本の製薬会社が手掛けた外国企業に対するM&Aも不首尾に終わってきた。武田薬品工業4502.Tはナイコメッドを140億ドル、ミレニアム・ファーマシューティカルズを90億ドルで買収したが、いずれも成果は出ていない。第一三共4568.Tは、子会社化していたインドのランバクシー・ラボラトリーズ RANB.NSを今年手放し、買収額の40%近くの損失を被った。

大塚製薬にとって主力薬の特許を失うのはそれだけで十分な難題であり、何も厄介なディールに乗り出して問題を悪化させる必要はない。

●背景となるニュース

・大塚製薬は2日、アバニア・ファーマシューティカルズを約35億ドル、1株当たり0.17ドルで買収することで合意したと発表した。買収額はアバニア株の時価に13%のプレミアムを乗せた水準。アルツハイマー型認知症患者の情動調節障害治療薬メーカーのアバニアは、11月に米食品医薬品局(FDA)から片頭痛の治験薬に関してさらなる試験が必要だと伝えられた。

・大塚製薬の親会社である大塚ホールディングスの売上高は、その約40%を抗精神病薬「エビリファイ」がもたらしている。エビリファイは来年4月に米国で特許が失効する。

・大塚製薬は昨年、米バイオベンチャーのアステックス・ファーマシューティカルズを8億8600万ドルで買収した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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