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コラム

コラム:市場リスクの「主役」はギリシャから中国へ

[ローンセストン(オーストラリア) 6日 ロイター] - 世界の金融市場にとって最大のリスクは何か。ギリシャが債務不履行(デフォルト)の混乱の中でユーロ圏を離脱することだろうか。それとも、中国政府が不安定な株式市場に資金を注ぎ込み続けることだろうか。

 7月6日、世界の金融市場にとって格段に重要な意味を持つのは、中国当局による株式市場安定化への取り組みだ。写真は証券会社の株価ボード。北京で撮影(2015年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

恐らくはギリシャ問題の方が、特に先進各国では、ニュースに数多く取り上げられている。5日の国民投票で緊縮策が「拒否」されたことで、短期的には市場の不安定化がもたらされるだろう。

それが最もはっきり表れたのは原油相場で、6日序盤には米原油先物CLc1が一時約4%、北海ブレント先物LCOc1が同1%超の下落となった。

またギリシャのデフォルトとユーロ離脱の可能性が高まったことで、外国為替市場ではユーロが、世界の株式市場でも中国以外は大きく値を下げた。

しかし、こうした相場の下落は相対的には緩やかなものにとどまった。それは多分、ギリシャが世界経済の0.25%、ユーロ圏の輸出全体の0.5%を占めるにすぎないことを反映しているのだろう。

ギリシャ政府債務の多くを持っているのは、国際通貨基金(IMF)や欧州中央銀行(ECB)など多国籍公的機関であり、民間部門のエクスポージャーは小さい。

つまり、ギリシャがデフォルトし、ユーロ圏から離脱したとしても、それによってギリシャ国民が苦痛を味わい、同国の公共サービス維持に何がしかの緊急援助が行われるにしても、世界の金融システム全体を揺るがす危機にはならないということだ。

<中国の株安対策>

世界の金融市場にとって格段に重要な意味を持つのは、中国当局による株式市場安定化への取り組みだ。

中国株は過去3週間で主要株価指数が3割近く下落したが、週明け6日は上海総合指数.SSECが一時約8%急伸するなど反発した。

相場反発の背景には、中国当局が週末に相次いで打ち出した異例の株安対策がある。

中国の大手証券21社は4日、中国株式市場を下支えするため総額1200億元(193億ドル)相当の資金を株式投資に充てると発表。中国人民銀行(中央銀行)は、これら証券各社への信用取引向け融資を手掛ける国営の中国証券金融に対し、流動性支援を提供する方針だという。

また、4日に投資信託会社25社が株式市場に積極的に投資すると表明したのに続き、5日には69社が同様の方針を発表した。

こうした一連の対策への当初の反応は、多かれ少なかれ当局の思惑通りになるだろう。しかし、より難しい問題は、果たしてそれで市場は安定するのかということだ。また、個人投資家がこうした対策への信頼を失い、売りを再開させるかもしれないことだ。

リスクはどちらかと言えば、国内投資家がレバレッジの巻き戻しを加速させる方向に傾いているように見える。そうであれば、株式相場の上昇は長くは続かないだろう。

市場の警戒感は、鉄筋と鉄鉱石の値動きからも見て取れる。上海先物取引所の鉄筋先物SRBcv1と大連商品取引所の鉄鉱石先物DCIOcv1はともに軟調だ。

これらの相場下落の背景には、ギリシャ危機をめぐる懸念も少しはあるだろうが、それ以上に大きいのは、中国の投資家が経済の先行きを懐疑的に見ていることがある。

上海取引所の銅先物SCFc3が6日序盤に約3%の下落となったことも、これを裏付けている。

<さらなる刺激策>

全般的に見れば中国当局にはまだ、株式市場の信頼回復と経済成長率7%の目標達成に向け、金融政策と財政政策の面でやれることはまだありそうだ。

しかし、それは同時に、中国が再び緩和マネーによる景気押し上げに頼るようになることを意味する。また緩和マネーのすべてが賢明に使われるわけではないため、良からぬインフラ投資や住宅投資のリスクも高まるだろう。

ギリシャ問題は過去数年に及ぶ危機に次ぐ危機の末、終局を迎えているように見える。一方、中国が進める重工業・輸出主導型から消費主導型への経済モデル転換は、相対的には初期段階にある。

中国政府の基本姿勢はこれまでのところ、景気が勢いを失った時は信用と流動性の拡大に走るというものであり、再び同じ道をたどろうとしているように見える。

中国がギリシャから学べる教訓があるとすれば、根本的な問題は、いずれ対応しなくてはならなくなるということだ。そして、後になればなるほど、その痛みは増すということだ。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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