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コラム

コラム:法人課税巡るG7合意、複雑な国際問題解決に希望の光

[ムンバイ 7日 ロイター Breakingviews] - 多国籍企業がツケを支払う時期がやってきた。新型コロナウイルスのパンデミック後初めて対面方式で開かれた先進7カ国(G7)の財務相会合は5日、何年も互いに意見が対立していた企業の国際課税問題で合意に達した。これは世界的な公平性実現への第一歩であり、恐らく、もっとさらに複雑に絡み合った問題を解決する糸口になるだろう。

 6月7日、多国籍企業がツケを支払う時期がやってきた。写真は5日、ロンドンで行われたG7財務相会議で記念撮影する各国閣僚。代表撮影(2021年 ロイター)

タックスヘイブン(租税回避地)によっていずれも法人税収の減少に見舞われているG7各国は、巨大多国籍企業の共通最低税率を15%以上にするという5日の合意で恩恵を受ける。穴埋めされる税収は、コロナ禍で痛手を受けた財政の再建に役立つ。EUタックス・オブザーバトリーの試算では、課税強化によって米国だけで年間歳入は約500億ドル増えるという。

今回の合意に基づくと、「最も規模が大きく、最も収益力が高い企業」が、その国に物理的な拠点があるかどうかではなく、実体として事業を展開しているかが決め手になる。そうならば、そこの国は課税することができる。現在、欧州などでグーグル親会社アルファベットなどのデジタルサービス収入に税金が導入されているが、その代わりにする狙い。これまでそうした税金が導入されてきた背景には、デジタル時代にふさわしい国際的な課税ルールがないという不満もあった。

ただ、巨大IT企業を課税ベースに取り込むには、対象企業の定義づけで一工夫が欠かせない。例えばアマゾン・ドット・コムの場合、今年1─3月期では、純売上高1090億ドルに基づいて税引き前利益103億ドルを計上した。つまり利益率は課税対象となる10%以上の基準を下回る。

今回のG7合意を最終的な国際法人課税ルールの枠組みとして実現するには、多大な労力も必要になるだろう。バイデン米大統領が提案した法人税の最低税率は21%で、これより低い15%以上という国際課税水準を米議会に納得させるには相当な政治資源を費やさなければならない。

7月の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、法人税率が低いアイルランドやハンガリーが例外措置を講じるよう働き掛けるかもしれない。逆に15%より税率が高い途上国が妨害に動いてもおかしくない。たとえ合意にこぎ着けたとしても、タックスヘイブンは多国籍企業を引き寄せる新手の方法を思いつくこともあるだろう。

それでも企業は自分たちの取り巻く「空気」を読みつつある。その表れとして、フェイスブックは、より多くの国でより多く納税することになる覚悟を表明した。

いずれにしても国際的な法人課税問題でG7の足並みがそろったことは、気候変動対策を中心とする他の野心的な諸目標も達成してくれるという信頼感ももたらす。実際、G7は気候変動関連リスクの情報開示義務化を支持し、国際的な報告基準の策定に意義があるとみなしている。炭素国境調整措置に関して、中国やインドなどの新興国勢をひどく罰しないようにしながら先進国間で政策調整を図るというのは、とりわけ緊張をはらむ作業に見える。だとしても、だからこそ、課税問題で合意したことは、幸先の良い第一歩だ。

●背景となるニュース

*先進7カ国(G7)は5日、各国共通の法人税最低税率を15%以上とすることで合意した。

*G7は、多国籍企業がその場所に拠点を置いていなくても、実体的に事業を展開している国に納税する義務があるという点でも合意した。最も規模が大きく最も収益力が高い多国籍企業で、利益率が10%を超えた分について、その少なくとも20%分に事業展開先の国(マーケット・カントリー)に課税権が付与される。詳しい定義は今後の協議で決まる。

*イエレン米財務長官は、新たな国際課税ルールが発効するとともに、欧州諸国は既存のデジタルサービス税を廃止するとの見通しを示した。アマゾンやフェイスブックは、新ルールをほぼどのように定義しても、課税強化対象に含まれるからだという。

*G7は、企業に気候変動関連の情報開示を義務化することも支持。気候関連財務ディスクロージャータスクフォース(TCFD)が既に行った提言に沿って、この取り組みを行うべきだとした。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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