[ニューヨーク 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] - サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコがまた新たな王冠を手に入れた。同国の実質的な指導者であるムハンマド皇太子がこれを喜ぶのは間違いない。11日の株価終値に基づく時価総額が2兆4000億ドルに達し、アップルを抜いて世界一になったのだ。同日のアップル株は5%強も下落した。この交代劇は、石油銘柄よりもハイテク銘柄の動きが作用した面が大きいと言える。
S&Pグローバル石油指数は年初来17%上がった半面、ハイテク銘柄の比重が大きいナスダック総合は27%下落している。アラムコにとってロシアのウクライナ侵攻は追い風になると見込まれる。欧州のエネルギー市場にあいた穴を埋める重要なプレーヤーの1つがアラムコだからだ。
しかし時価総額ランキングでアラムコが首位に立ったとはいえ、他の大手石油会社はトップ10から脱落している。リフィニティブのデータによると、10年前もアップルは首位だったが、第2位につけていたのはエクソンモービルだった。当時、エクソンの時価総額は約3900億ドルで、現在より9%前後も大きい。
その時点でアラムコは公開企業ではなく、上場したのは2019年だ。ただエクソン株の値動きを見ると、アラムコの企業価値は恐らく10年前とほとんど変化していないだろう。つまり王冠はアラムコが勝ち取ったというよりも、ハイテク銘柄がそれを手放したという方が事実に即している。
●背景となるニュース
*リフィニティブのデータによると、サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコは11日の株価終値に基づく時価総額が2兆4000億ドルに達し、アップルを抜いて世界一になった。
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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