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コラム

コラム:ソフトバンク、遠のく時価総額「ディスカウント」解消

 5月12日、ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長が、株価てこ入れのために処方してきた薬は効果を失いつつある。写真は東京都で2018年11月撮影(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[ロンドン 12日 ロイター Breakingviews] - ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長が、株価てこ入れのために処方してきた薬は効果を失いつつある。SBGの時価総額は、同社が保有する資産全ての正味ベース評価額の半分足らずにとどまっている。これまで孫氏が、こうしたさえない株価を押し上げる目的で利用してきたのは大規模な自社株買いだ。しかし借入金が膨らみ、これ以上の自社株買いは難しい。孫氏がSBG解体などより思い切った措置を検討しない限り、時価総額が総資産価値を下回る「ディスカウント」の状況は続いていくだろう。

SBGの総資産価値の約4割を占めるのは、2つの「ビジョンファンド」を通じて保有する新興ハイテク企業の株式だが、2022年3月期は全般的な市場環境悪化を受け、この分野で多額の損失が発生。12日に発表したビジョンファンド関連部門の損失額は3兆5000億円(280億ドル)だった。

一方、SBGの株主は、同社の企業価値が保有資産と同等だとみなすのを拒んでいる。SBGの算出した資産総額はおよそ23兆1000億円(1800億ドル)で、この中には2つのビジョンファンドや、携帯電話会社ソフトバンク、半導体開発大手の英アーム、中国電子商取引最大手アリババの相当規模の株式が含まれる。ここから純債務を差し引いた理論上の純資産額は18兆5000億円(1440億ドル)だ。しかしSBGの時価総額は7兆4000億円(570億ドル)とその5割にさえ遠く達しない。

この時価総額のディスカウントについて、孫氏は自社株買いで対応するのが常だった。昨年11月には1兆円(78億ドル)の自社株買いプログラムを開始し、今年4月までに43%を完了している。それでも過去半年で下落率が33%前後にも達している同社株の落ち込みを止められていない。さらに問題は、自社株買いで借入金が増加する点にある。孫氏はSBGの純債務をグロスベースの資産価値の25%未満に維持し続けたい考えで、3月末時点のこの比率は20%だった。だがハイテク株下落の流れが続いていることを踏まえれば、恐らく足元の比率はもっと高いだろう。つまりSBGの自社株買い余力は限られている。

孫氏には別の選択肢もある。アリババ株や携帯電話会社ソフトバンク、ビジョンファンドの持ち分など保有する上場株を手放し、未公開ハイテク株への投資により専念することで、時価総額のディスカウントを縮小する方法だ。もっとも孫氏にとってそれは面白くないだろう。より生まれたての企業に投資するために活用していた「貯金箱」を失ってしまうからだ。そうなると結論として、SBGの時価総額ディスカウントは解消されないのではないだろうか。

●背景となるニュース

*ソフトバンクグループ(SBG)は12日、傘下の投資ファンドを通じて約280億ドルの損失を計上した。孫正義会長兼社長は、出資している韓国ネット通販大手クーパンと中国配車サービスの滴滴出行(ディディ)の評価損が最も大きな要因だったと述べた。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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