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コラム

コラム:勢い増す「メードインUSA」復活

[シカゴ 8日 ロイター] 米国製造業は長期的な回復傾向が続いている。中国をはじめとする新興国に対する競争力も高まっており、「メードインUSA」の復活はこの先も持続する可能性が高い。

3月8日、米国製造業は長期的な回復傾向が続いている。中国をはじめとする新興国に対する競争力も高まっており、「メードインUSA」の復活はこの先も持続する可能性が高い。写真は米ミシガン州の自動車組み立て工場。昨年11月撮影(2013年 ロイター/Rebecca Cook)

ボストン・コンサルティング・グループが最近発表したリポートによると、中国が米国に対して保ってきた価格優位性は急速に縮小している。同リポートは「中国の賃金上昇や米国の生産性向上、ドル安などの要因により、北米で消費される多くの製品で、向こう5年以内に米国製と中国製の価格差は事実上なくなるだろう」と予測する。

それはつまり、これまで中国にアウトソースされてきた仕事が米国に回帰することを意味する。例えば、アウトドア用品大手のコールマンは、クーラーボックスの製造拠点を中国からカンザス州ウィチタに戻した。自動化を通じた生産性の向上と賃金格差縮小を背景に、多くの米国企業で、生産を本国に戻す動きが広がっている。

製造業の米国回帰の最大の要因は、労働コストの内外格差縮小だろう。アーンスト・アンド・ヤングは昨年9月のリポートで、中国の平均人件費は2001年から12年の間に4倍に跳ね上がったと指摘。対照的に米国では、同じ期間に実質賃金の上昇は足踏みか減少となっている。

もし米国製造業全体を網羅した投資の機会を探しているなら、上場投資信託(ETF)のインダストリアル・セレクト・セクターSDPRXLI.Pは検討に値するだろう。同ETFは年初来で約8%上昇した。

米国製造業の優位性を押し上げているもう1つの要因は、豊富な資源とエネルギー価格の下落だ。ゴールドマン・サックスが2013年予測で指摘していることだが、米国は中国に比べて5.3倍の耕作地と4.6倍の水資源を持つ。これが産業基盤の回復をしっかり支えるだろう。

国際エネルギー機関(IEA)によれば、シェールオイル・シェールガスの急速な開発進展により、米国は2020年までに世界最大のエネルギー生産国になる見通しだ。「シェール革命」はほぼすべての工業製品にコスト低下の恩恵をもたらし、中国が長年維持してきた安価な労働力による価格優位性は、それによって相殺されることになるだろう。

5年前の約半分にまで下がった天然ガスの価格は、化学やプラスチック、鉄鋼といったエネルギー集約型産業のコストを低減させる。中国やその他の発展途上国に拠点を移そうとしていた企業も、今では米国工場への投資を増やしている。ガス価格下落の恩恵を受ける銘柄の代表は、ダウ・ケミカルDOW.N、USスチールX.N、デュポンDD.Nなどだろう。

一方、中国では、エネルギーコストが大幅に上昇している。また、電力の大半は石炭を燃やす火力発電に頼っており、大都市での大気汚染など環境問題も深刻化している。

テクノロジーの進化も製造業が米国に回帰する要因の1つだ。工作機械のコンピューター化が製造コスト低減に寄与しているからだ。また、3D印刷技術の進歩は、航空部品から人工装具まで、あらゆる物の作り方を根本から変えようとしている。

調査会社ウォーラース・アソシエーツによると、3D印刷は、2019年までに60億ドル(5700億円)規模の産業に成長すると見込まれている。この分野では、サウスカロライナ州に拠点を置く3DシステムズDDD.Nのほか、先週上場したばかりのエクスワンXONE.Oなどが期待できそうだ。

ボストン・コンサルティングは、製造業の世界的な統合も、長い目で見れば米国製造業に追い風だと指摘する。長期的なサプライチェーンや輸送、不動産のコストなどを織り込むと中国の優位性は弱まる。

短期的には、中国はまだまだ強敵だ。米国製造業が中国を追い抜き、最も忙しい「世界の工場」になれるとしても、それはまだ何年も先の話だろう。中国製造業は引き続き、繊維など労働集約型産業では優位性を保つはずだ。ここ数年は成長が鈍っていた中国の製造業だが、今年に世界経済の温度が上昇すれば、再び活況を取り戻すだろう。

しかし、エネルギー価格の低下や労働コストの格差縮小を通じて米国製造業の優位性がこの先も高まっていくなら、「メードインUSA」復活に投資する価値は十分にある。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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