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コラム

コラム:米ヤフーが買収で手にした「検索の未来」

米ヤフーは、モバイル向けニュース要約アプリ「サムリー(Summly)」を買収した。アプリを開発した17歳のニック・ダロイシオ氏をめぐる状況は、一見したところ、IT業界によくあるストーリーに映る。ある若者が立ち上げた実態の良く分からない事業が高値で売れ、その後、買収した企業がそれは見当違いだったと気付き、自責の念にかられる──というものだ。

3月29日、米ヤフーはモバイル向けニュース要約アプリ「サムリー(Summly)」の買収により、単なる新興企業ではなく、インターネット検索の未来を手にしたのかもしれない。写真はサムリーを開発した17歳のニック・ダロイシオ氏(2013年 ロイター/Suzanne Plunkett)

しかし、たった5カ月前にアップルストアに登場し、ヤフーが3000万ドル(約28億2000万円)払ったと報じられるサムリーの場合、こうした陳腐な筋書きには当てはまらない。

これは単に、思いがけず大成功を収めた若者の話ではなく、経営再建中の大手ネット企業がイメージ刷新を狙って新興企業を買収したという話でもない。インターネット検索の未来に関する話なのだ。

ダロイシオ氏の17歳という若さ、そして手にした大金も興味深いポイントではある。素晴らしいアイデアがいつでもそうであるように、サムリーのアイデアも「どんなニュースでも要約が可能」と非常にシンプルだ。しかし、コンピューターにそれをさせることで、要約できる量やスピードは格段に進歩する。サムリーはニュースをフィルターし、スマートフォンの小さなスクリーン向けに最適化してくれる。

ダロイシオ氏は、本気で支援してくれる人をバックにつけて会社を作った。15歳の時に初めて投資を受け、その後、オノ・ヨーコやアシュトン・カッチャーなども支援に加わった。これらの投資家はこの少年、または彼のアイデアに魅了されたのだ。

サムリーの滑り出しはダウンロード数こそ悪くなかったが、ニュース提供元への課金や広告販売を除けば明確なビジネスモデルに欠けた無料アプリだった。そもそもニュース記事はどれだけ長くても、初めの2─3段落を読めば概要は把握できるものであり、自動要約というだけではエキサイティングな要素はそれほどない。

サムリーの本当の価値は、ニュースの要約にあるのではない。それは、インターネットを要約するという点にある。

わたしの乱暴な推測はこうだ。ニュース要約は、サムリーにとっては概念実証に過ぎない。消費者向けアプリは本来の意図ではなく、隠された本当の目的を実地試験するためものだ。サムリーは検索エンジンとして、検索結果の関連性と一貫性を大きく改善させる可能性を秘めている。

サムリーが、セマンティック・ウェブ技術のようなものの一部だとしよう。同技術では、好きな方法でコンピューターに「質問」し、コンピューターはその意味を理解する。ウェブとのコミュニケーションは、人間同士と同じようになる。

米アップルの音声アシスタント機能「シリ(Siri)」は、コンピューターと「人間的な」関係を構築する取り組みが初期段階にあることを示す。私自身は文章の書き起こしに使用しているが、それほど情報収集能力が高いわけではない。

シリのような音声アシスタントが命令内容を理解し、サムリーがインターネット上で情報を収集し、わずか1秒で完璧な答えを提供してくれる時代を想像してみよう。「検索エンジン最適化(SEO)」という言葉が過去の存在になる可能性だってある。われわれとデータの距離は近づき、そこにどうアクセスするかはそれほど重要でなくなるだろう。

そうした未来のネット検索の対価として、どのような金額をつけるべきだろうか。

サムリーが今後、検索結果を関連性の高いものにするための強力な武器となるなら、同アプリの買収額がどれだけ安いものであったかと、笑い飛ばすことになるだろう。(27日 ロイター)

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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