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コラム

コラム:ウクライナ危機は軍事的リスクはらみ長期化へ、株価頭打ちに

田巻 一彦

4月4日、新年度のマーケットにはリスクオン・ムードが高まっていると言われているが、それは表面的な見方に過ぎないのではないか。写真は都内証券会社の株価ボード。2月撮影(2014年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 4日 ロイター] -新年度のマーケットにはリスクオン・ムードが高まっていると言われているが、それは表面的な見方に過ぎないのではないか。ウクライナをめぐる米欧とロシアの対立は、簡単な落としどころを見つけて決着させるような問題ではなくなっている。

軍事的対立のリスクをはらみながら、危機は長期化するだろう。マーケットはリスクを意識し、株価は世界的に頭打ちの傾向をみせながら、年央を迎える可能性がある。

<IMF専務理事が危機感表明>

4月に入って日経平均.N225は復調気配で1万5000円台を回復し、ドル/円もいったん104円台を回復した。昨年春の株高/円安地合いの再来を期待する声が、市場ではかなり広がっているようだ。

だが、好調に見える米経済や回復基調が鮮明になってきた欧州経済、危機を回避しつつある中国経済などをみて、「今年は世界経済が拡大し、グローバルに株高が期待できる」と展望するのは、早計に過ぎると指摘したい。

「地政学的な緊張の高まりで、世界経済の先行きが不透明になりうる」と述べたのは、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事だ。2日の講演で米欧とロシアのウクライナをめぐる対立を念頭に懸念を表明するとともに「成長を加速させるためには、適切な政策だけでなく、政治的対応も必要だ」と指摘した。

東京市場の関係者に、果たしてそこまでの危機感があるのか、そこが私の懸念でもある。

<ロシア系住民多い東南部の8州>

黒海に面するクリミアは、ロシアが軍事的に制圧し、ロシア領への編入が法手続き的にも完了し、ウクライナから切り離された。

同様のことが、ウクライナの東南部8州で起きる可能性を注視するべきだ。この地域では、クリミアと同じようにロシア系の住民の割合が多く、住民が「蜂起」して州政府の枢要部分を占拠し、「自警団」が中心部を制圧するようなことが起きれば、クリミアで起きた現象と同じようなことが繰り返されることになる。

また、ロシア系住民の安全を確保する目的で、ロシア軍が東南部8州に進行するケースも考えられる。その後に住民投票でロシアへの編入を決めれば、クリミアがたどった道と全く同じことになる。

だが、今回は米欧側も身構えている。北大西洋条約機構(NATO)軍の幹部は、NATO艦船の黒海への派遣が検討対象になると述べるともに、ウクライナ政府も自国内におけるNATO軍との演習の可能性を否定していない。

ロシアと米欧側との軍事衝突の可能性を秘めたまま、これから両者によるエンドレスの駆け引きが展開されることになるだろう。

<日本株には消費税の不透明感も>

この状況を「小康状態」と捉え、リスクオンだというのは勝手だが、潜在的な緊張感の存在する中で、世界の株式市場が現状の価格から一段高に飛び跳ねる可能性は低いと予想する。

実際、3日の米株式市場は4日の雇用統計発表前というエクスキューズがあるとはいえ、上値の重い展開となった。今後も、最高値圏での推移という高原状態での値動きにはなるものの、大幅な高値を追うのは難しいのではないか。

そのことは、日本株にも当てはまると指摘したい。海外からの短期資金が大量に入って来ない中で、1万6000円を超えて1万8000円を目指す動きになるのは、短期的には相当に困難だと思われる。

さらに消費増税が4月から実施され、様々な経済指標がその直前の駆け込みの反動を含むことになり、経済の実力を判定しにくくなる。

ちょうど、1-2月の米指標が「寒波」の影響なのか、本当に弱いのか、判定が難しくなったのと同じことが起きるだろう。

そうなると力強く「リスクオン」と提唱して、海外のマネーを引き寄せようとする動きが活発化すると考えるのは、無理があるのではないか。

モヤモヤしたムードが続くとなると、日経平均が現状付近でこう着しやすくなる。

そこにウクライナ周辺で新たな軍事的緊張が高まれば、リスクオフ的な心理が広がって、株安/円高方向に圧力がかかりやすくなる。

当面は、上値の重い展開が継続すると予想する。

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