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欧州懸念和らげる日銀緩和期待、海外勢の失望リスクも

[東京 24日 ロイター] 欧州の景気後退や政権交代への懸念が強まっているが、東京市場は日銀の追加緩和期待がリスクオフムードの広がりを押しとどめている。日米中銀会合や大型連休を前に日本株に買い戻しが入っているほか、円高進行も小幅だ。国内企業決算への期待もある。

4月24日、欧州の景気後退や政権交代への懸念が強まっているが、東京市場は日銀の追加緩和期待がリスクオフムードの広がりを押しとどめている。写真は都内の外為トレーダー。2010年7月撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

ただ、緩和効果を先取りしている面は否めず、27日の日銀会合で大幅な追加緩和を期待する海外投機筋もいるとされ、材料出尽くしや失望リスクへの警戒感も強い。

<日銀の大幅緩和期待する海外勢>

米ダウ.DJIが100ドル以上下落した割に、前場の東京株式市場は底堅い動きとなった。欧州政治リスクの高まりで欧米株が大幅安となったことが嫌気され、銀行や証券など金融株を中心に売りが先行。日経平均.N225は売り一巡後、下げ幅を縮小し9500円台を回復して前引けた。

日本株を下支えているのは追加緩和期待だ。「先物安から裁定解消売りが先行したものの、基本的にはカネ余りの流動性相場だ。新興国も含め世界の中央銀行が金融緩和で一致している。現状は日米の金融政策を催促する相場だろう。大きく崩れるような不安心理は高まっていない」(みずほインベスターズ証券エクイティ情報部長の稲泉雄朗氏)という。

海外ヘッジファンドの間で日銀の大幅な追加緩和策への期待が高まっているとの指摘もある。「ある欧州のヘッジファンドは、基金の10兆円増額、買取り国債年限の長期化、ETF買い取り枠の増額を予想し、サプライズ緩和で株高・円安が大きく進んだ2月14日の再現を期待している」(準大手証券情報担当者)。IMM通貨先物の取組(4月17日までの週)では、円のネットショートポジションは前週から約8200枚減少したが、いまだ約5万7000枚と高水準であり、日銀緩和による円安に賭ける投機筋が依然多いことを示している。

実際、CTA(商品投資顧問業者)の注文を扱っているとみられている証券会社の一つであるニューエッジが23日の市場でTOPIX先物で1113枚、225先物で1775枚を買い越しており、市場では投機筋による日本株先物の買い戻し観測が出ている。「日銀決定会合や大型連休を前にしたポジション調整ではないか」(米系証券トレーダー)という。

ただ、日銀追加緩和の織り込みは、市場における緩和効果の先取りでもあり、実際に政策が打ち出されても材料出尽くしと受け止められるおそれもある。三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は「5月が中間決算のヘッジファンドは多い。積み上げたポジションをどこかで巻き戻して利益を確定しようとねらっている可能性がある。27日の日銀決定会合が失望されれば、反動が出るかもしれない」と話す。

<ドル円のカギ握るのは米金融政策か>

為替市場では、ドル/円の動きでカギを握るのは27日の日銀決定会合よりも米金融政策との指摘もある。「日銀金融政策決定会合に注目していないわけではないが、資産買い入れ等基金の5─10兆円程度の拡大を織り込んでいる上、緩和効果自体についても若干懐疑的なところがある」(みずほ証券FXストラテジストの鈴木健吾氏)という。

今晩から始まるFOMC(米連邦公開市場委員会)では、追加緩和策が実施されるのとの見方は市場で少ないが、バーナンキFRB(米連邦準備理事会)議長の発言や、メンバーの利上げ予想時期への注目度が高い。5月にFOMCは予定されておらず、次回はツイストオペが終了する直前の6月19─20日だ。市場参加者は、今回の会合で量的緩和第3弾(QE3)の可能性を読み取ろうとしている。

「市場にやさしいバーナンキ議長はマーケットが追加緩和期待を維持できるような発言をする」(大手証券ストラテジスト)との予想がある一方、「景気や雇用が一定の底堅さを維持していることを踏まえれば、QE3に関して一般論以上の具体的な言及が行われることは想定しにくい」(シティグループ証券チーフエコノミストの村嶋帰一氏)との指摘も多く、見方は分かれている。

午前の市場で、ドル/円は81円前半でもみ合っていたが、正午にかけて81円を割り込んだ。上海株がマイナス圏に沈むなど、リスク回避の動きが強まる中でクロス円に下げ圧力がかかり、ドル/円も軟調に推移した。日米の金融政策決定会合を控え、ポジション調整も入ったという。

<コア国債に流れるマネー>

世界的な金融緩和期待は株式などリスク資産を下支えているが、リスクオンムードには程遠い。過剰流動性は日米独のコア国債に流れて込み、金利低下を促している。

午前の円債市場では、20年債入札に備えた調整圧力に加えて、金利低下余地が狭まった中期ゾーンに利益確定売りが出たことを受けて、全般に上値の重い展開となったが、相場先行きに対する強気な見方は消えていない。例年、現物債市場では、大型連休前にロングに偏ったポジションを修正する動きが入りやすいが「今年は連休中のキャリー収益を確保したいとして、月内はとりあえず買っておきたいとの思惑が強い」(同)という。

強気論が台頭する円債市場を支えているのは、日銀の追加緩和期待に加えて欧州信用不安の再燃だ。フランスに続いてオランダの政局リスクが顕在化しており、オランダのルッテ首相は23日、財政再建策をめぐる与野党の意見対立を背景に、ベアトリックス女王に内閣総辞職を申し出た。これを受け、早ければ6月にも総選挙が実施される可能性が出てきており、国債格下げの可能性も出てきた。

マークイットが23日発表した4月のユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は47.4と前月の49.1から低下し、市場予想の49.3も下回った。「政局リスクや実態経済の悪化によって、欧州各国の財政緊縮路線が後退すれば、再び欧州債務危機につながりかねない」(国内金融機関)として、警戒する声が出ている。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 布施太郎)

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