[アルジェ 17日 ロイター] イスラム武装勢力によるアルジェリアのガス施設での人質拘束事件で、同国軍による救出作戦によって、日本人2人を含む人質30人が死亡した。アルジェリア治安当局筋が明らかにした。
同筋がロイターに伝えたところによると、アルジェリア人8人と少なくとも外国人7人が死亡した。日本人2人に加えて、英国人2人、フランス人1人が含まれるとしている。
武装勢力側の死者は少なくとも11人。
詳細は依然として不明で、各国政府からは苛立ちの声が上がっている。
政府関係者によると、今回の事件では、米国人、ノルウェー人、ルーマニア人、オーストリア人も人質になっていた。
死亡した武装勢力側11人のうち、アルジェリア人は2人のみ。残りはエジプト人3人、チュニジア人2人、リビア人2人、マリ人1人、フランス人1人だった。
武装勢力は人質とともに国外に脱出することを要求。アルジェリア政府はこれを拒否し、救出作戦に踏み切った。作戦は約8時間続いたとみられる。
武装勢力側は16日未明に、アルジェリアのガス関連施設を占拠。フランスによるマリへの軍事介入停止を要求した。
フランス軍は、マリのイスラム過激派を制圧するため、1週間前から同国への軍事介入を行っている。
フランスのオランド大統領は17日、マリへの軍事介入は正当化されると発言。「アルジェリアで起きていることは、マリに介入を行う私の決断が正当化されることを示す一段の証拠となった」と述べた。
今回武装勢力が占拠したガス施設は、アルジェリア国内の天然ガスの約10%を生産する重要施設。こうした施設が比較的容易に武装勢力に攻撃されたことを受けて、これまで盤石とされていた同国の警備体制への信頼が揺らいでいる。
事件を受け、現地に進出する複数の外国企業が、必要最小限のスタッフを除いて、社員を国外に避難させる方針を示している。
米セント・ジョーンズ大学のアズディン・ラヤチ氏(政治学)は「アルジェリア政府にとって大きな打撃だ。アルジェリアは石油・ガス田がある南部が経済の要だ。厳重な警備にもかかわらず、武装勢力がここを攻撃したというのは大問題だ」と述べた。
軍の救出作戦で複数の人質に犠牲者が出たことを公式に認めたアルジェリアのサイード情報相は、武装勢力の強硬姿勢を受けて、救出作戦の実施を余儀なくされたと主張。
国営アルジェリア通信(APS)によると、「テロリズムとの戦いに交渉や脅し、猶予はない」と述べ、人質の安全確保に万全を期したが、武装勢力の強硬姿勢により救出作戦の実行を余儀なくされたと経緯を説明した。
地元の関係者がロイターに明らかにしたところによると、外国人の人質のうち6人は、軍が武装勢力の車を攻撃した際に、武装勢力8人とともに死亡した。
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