[東京 10日 ロイター] - みずほフィナンシャルグループ8411.Tの坂井辰史社長は10日までにロイターとのインタビューに応じ、新型コロナ関連の融資申請が直近で17兆円規模となったことを明らかにした。企業の資金繰り支援を優先し、融資先の業績不振などに伴うリスクアセットの上振れを容認する考えも示した。
2020年3月末残ベースの貸出金残高はグループ傘下のみずほ銀行、みずほ信託銀行で計83.3兆円となっており、19年3月末からは4%増えた。融資相談件数は緊急事態宣言後の4月以降も膨らみ、坂井氏はインタビューで「国内での(円建て融資の)申し込みが13兆円、海外(ドルなどの外貨建て融資の円建て換算)では4兆円となった。国内のうち大企業からは11兆円の申請がある」と述べた。
新型コロナ対策を巡っては「大胆でスピーディーだった」と政府・日銀の対応を評価する考えを示し、「資金繰りの問題が実体経済に波及し、金融システム不安を招く『負の連鎖』を断つためにも、しっかり支援を行っていく」と強調した。
現状では「金融システムそのものは非常に安定している」との認識も併せて示した。日銀が金融機関向けに金利ゼロ%で供給する資金も活用し、企業支援を通じて「(コロナ終息後の経済環境を)今まで以上に強くする覚悟で臨みたい」とも語った。
資金需要の高まりや取引先企業の格下げに伴うリスクアセット換算では、23年度までの5カ年計画で当初想定した分とは別に「今期は5兆円程度の増加を許容する」と明言した。自己資本比率(CET1)の新たな低下要因を抱えるが、先行きの景気回復に伴う改善を見込み、23年度にCET1比率を9%台前半とする目標は据え置く。
山口貴也、梅川崇
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」