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コラム:2015年の世界経済に2つのシナリオ、鍵握るBRICS

[東京 26日 ロイター] - 2015年はどのような年になるのか──。原油安のメリットを全面的に受けて、2%成長を達成するというのが「良いシナリオ」だ。

 12月26日、来年はどのような年になるのか、コラムニストの田巻氏が分析した。写真はBRICSサミットに集まった各国首脳。7月撮影(2014年 ロイター/Ueslei Marcelino)

一方、急激な原油安の衝撃や米利上げの波紋で新興市場が動揺し、リスクオフ心理から世界的な株安に直面するのが「悪いシナリオ」の典型だろう。

果たしてどちらのシナリオに傾くのか、カギはBRICSなどの新興市場が握っていると指摘したい。

<良いシナリオ、原油安で2%成長>

まず、「良いシナリオ」から点検してみよう。原油安は輸入国である日本にとっては、「減税効果」に匹敵するプラスのインパクトがある。1バレル=50ドル台の価格が続けば、国内総生産(GDP)を0.7%程度押し上げるとの試算も一部の民間機関から出ている。

みずほ総合研究所は最近出したリポートの中で、1)円安・株高、2)消費税延期を含めた財政効果、3)原油価格下落──を「トリプルメリット」と指摘。2014年度の成長率予想を11月予想時点のマイナス0.4%から同0.6%に0.2ポイント下げたのに比べ、15年度の下方修正幅は2.5%から2.4%に0.1ポイントだけで、15年にかけて日本経済は予想以上に改善しやすい状況にある、と分析している。

0.5%未満の潜在成長率の下で、2%台の成長が達成できれば、「良いシナリオ」の名に恥じないパフォーマンスと言えるだろう。

このシナリオの前提になっているのは、米経済の回復基調が継続し、その動きをエンジンに世界経済が好回転している姿だろう。

当然、米連邦準備理事会(FRB)は4月ないし6月の利上げに向けて動き、日本にとってはドル高/円安と株高が、同時に実現している可能性がある。

ただ、日銀にとっては、1つやっかいな問題が持ち上がる可能性もある。原油価格が50ドル台で推移した場合、一部の民間機関では、15年4─6月期にも消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)の前年比が、マイナスに転落していると予測しているからだ。

需給ギャップが大幅なプラスになっている下では、いずれ物価は上昇することになる。しかし、短期的にコアCPIがゼロ近辺に低迷、もしくはマイナスに転落した場合、期待インフレ率に影響を与えるとみるのか、それとも中長期的にプラス基調に転じると楽観的に見るのかは、大きな政策判断上の分かれ道になるだろう。

<悪いシナリオ、新興市場混乱でリスクオフに>

一方、悪いシナリオは、前週のコラム[ID:nL3N0U2183]でも指摘した急激な原油安と米利上げを予期したマネーフローの急変によるリスクオフ心理のまん延だ。

仮に一部の原油市場関係者の中でささやかれている1バレル=30ドル台への下落が短期間で現実化した場合、いくつかの混乱が予想される。

1つは、米シェールオイル企業が発行しているハイイールドボンドの価格が下落し、ハイイールドボンド市場に動揺が走るリスクだ。この動きが大きくなった場合、高値を追っている米株市場が一転して下げ基調になることもあり得る。

また、資源国通貨と株式が軒並み下落し始める現象が起きることも、世界経済にとっては大きな脅威だ。足元でロシアのルーブルは、ロシアの輸出企業が外貨売却をしている影響で戻しているが、この先もルーブル上昇が継続するのかかなり不透明だ。

年明け以降、米利上げの可能性が高まっているとの観測が市場で広がった場合、新興国から米国への資金シフトが顕在化することを考慮に入れるべきだろう。

さらに中国経済からも目が離せない。中国人民銀による再利下げの観測が跡を絶たないのは、中国の内需が弱い証拠でもある。鉄鋼製品の在庫積み上がりや原材料の輸入量の減少がさらに大きくなるようなら、中国経済の停滞を見越した海外マネーの流出を招き、不動産価格が急落するというのが、最悪のシナリオになると考える。

もし、中国市場に動揺が見え出した場合、BRICS経済が相次いで逆回転し、それが世界経済を危機に陥れるというコースも、想定する必要が出てくるのではないか。

「良いシナリオ」と「悪いシナリオ」のどちらに傾いて、現実の世界経済が回っていくのか、現段階でははっきりしない。ただ、リスクの多くが新興国・資源国から出てきそうな現状をみれば、2015年のカギはBRICS経済の動向が握っているという構図が見えてきそうだ。

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