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CPIマイナスに戻る可能性=武藤大和総研理事長

 [東京 19日 ロイター] 武藤敏郎・大和総研理事長(前日銀副総裁)は19日、都内で講演し、東日本大震災を受け需給ギャップ改善によるデフレ脱却が遅れるため、消費者物価指数(CPI)が「高校授業料無償化の反動の影響がなくなるとマイナスに戻る可能性がある」と述べ、2012年度に入り再び低下するとの見方を示した。

 5月19日、武藤大和総研理事長(前日銀副総裁)はCPIはマイナスに戻る可能性があると述べた。写真は先月、都内のショップ(2011年 ロイター/Yuriko Nakao)

 13年初めのプラス転換を見込むが、多少遅れる可能性があるとした。また30兆円程度に膨らむ可能性がある復興費用を賄うため、復興基金の設立や連帯税が必要との持論を繰り返した。

 武藤理事長は、12年前半に需給ギャップがマイナス3%程度に縮小することで物価がマイナスからゼロ領域に上昇、物価は需給ギャップ改善に9カ月程度遅れて上昇すると説明したが、「事態はどちらかというと悪い方に向かっており、需給ギャップ改善の時期も後ずれする」と指摘した。

 一方で、生活関連品の価格上昇により、人々の期待インフレ率上昇が起こりつつある可能性にも言及した。

 実質経済成長率見通しについては、11年度の10─12月期からプラス転換するものの、11年度通年では前年比マイナス0.4─0.5%にとどまり、12年度も大和総研の従来見通しである3.0%から多少下振れるとの見方を示した。19日朝方発表された11年1─3月期国内総生産(GDP)が前期比・年率換算でマイナス3.7%だったことについては「市場コンセンサスより相当悪い、ショッキングなものだった」と指摘した。 

 震災によるサプライチェーン(供給体制)寸断の影響で11年度上期の自動車生産台数は前年比4割減とみていたが、最新の情報によれば減少幅は半分程度にとどまると述べた。

 震災前から企業は国内よりも成長率の高いアジアなど海外に生産拠点を移転しつつあったが、震災がその動きを加速しているとし、産業空洞化への懸念を示した。

 被災地金融機関については、今のところ政府の資金繰り支援が奏効しているものの、不良債権はいずれ急増するとの見通しを明らかにした。阪神・淡路大震災でも震災の翌年から倒産が急増したと指摘した。

 阪神・淡路大震災では震災後60日で8割まで進んでいたがれきの処理が、岩手県では18%にとどまるなど極めて遅れていることに言及。東京電力9501・福島第1原子力発電所の事故で「悪い情報が次から次へと出てきて本格的に復興に取り組む雰囲気にならない」とし、「最終処理に10─20年かかるとしても、少なくとも収束の方向を実感する必要がある」と強調した。

 原発処理を含む震災復興費用については30兆円程度との見積もりを示し、全額を国が負担することはできないため、政府保証債を発行する復興基金の設立が必要と述べた。被災地向け低利融資と出資者へのリターンの差額については、連帯税による穴埋めを提唱した。 

(ロイターニュース 竹本能文;編集 山川薫)

*発言内容の詳細を追加して再送します。

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