[シドニー 20日 ロイター] オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)は20日、今月の理事会で25ベーシスポイント(bp)の小幅利下げを決めた理由について、欧州の債務危機が世界経済の成長にリスクをもたらしている一方、一部の要因は金融緩和の強い必要性を示していなかったためだと説明した。
議事録によると、理事会メンバーは、鉱山セクターで投資が活況を呈している一方、全般的にはトレンド並みの成長を遂げているとの見解を示した。また、特にアジア諸国を中心とする主な貿易相手国も、着実な成長を続けていると判断。「そのことは、利下げを行う強い必要性があることを示していない」と指摘した。
一方、欧州の債務危機がもたらすダウンサイドリスクは高まっていると指摘、「ソブリン債の信用や銀行の問題が欧州の経済活動に大きな重しとなる可能性がかなり高く、非常に急激な経済収縮に見舞われる可能性は小さくない」と述べた。
市場では、欧州の債務危機が世界経済に与える影響への懸念から、来年に金利が100bp以上引き下げられる可能性を織り込んでいる。
ただ、オーストラリアの銀行は、米国の投資家が欧州の債券市場からシフトしている恩恵を受けており、国内市場に緊張の兆しは現れていない。
議事録は「こうした環境や、インフレ率が今後2年間にわたり目標付近で推移するとの見通しを踏まえ、理事会メンバーは、今回の会合でキャッシュレートを小幅に引き下げる余地があると判断した」と述べた。
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