for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

〔アングル〕対円でのウォン騰勢続く、材料豊富 積極介入は困難との見方多い

 [東京 17日 ロイター] 対円での韓国ウォンKRWJPY=R上昇が著しい。上昇率は昨年10月から2割を超した。「アベノミクス」期待による円安だけでなく、リスクオン・モードの持続、韓国の金利の相対的な高さ、高格付けといった韓国側の材料が豊富であり、ウォン/円の上昇基調は続くとみられている。中銀などから「口先介入」も聞かれ始めたが、国際的な批判にも配慮して韓国当局は積極的なウォン安誘導には動きにくいとの見方が多い。

 外為市場で、韓国ウォンが上昇基調を鮮明にしている。15日、対円では100ウォン=8.50円まで上昇し、2年8か月ぶりの高値を付けたほか、対米ドルKRW=でも15日に1054.30ウォンと2011年8月以来の高値となった。特に対円でのウォン高進行が著しく、12年10月1日の始値からの上昇率では、対米ドルでの上昇が5.3%にとどまる一方で、対円では21.4%の上昇を記録した。

 日本の総選挙での自民・公明両党の大勝、安倍晋三政権の誕生に伴う「アベノミクス」期待の高まりが円安要因となり、ウォン/円の押し上げに一役買ったとみられている。

 ただ、ウォン/円は日本の衆院解散(昨年11月16日)におよそ1カ月先行して上昇を開始している。韓国サイドのウォン高要因が相次いだためで、「アベノミクス」期待が多少後退しても、ウォン/円の上昇基調は続くとの見方は多い。

 ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの村田雅志シニア通貨ストラテジストは、昨年10月以降のウォン高の要因を3つに分類して解説する。10月以降、エマージング通貨が総じて上昇を始め、その中でも韓国は先進国に比べて金利水準が高く、夏に大手格付け会社による格付け引き上げが相次いだことで、同国が「先進国マネーの受け皿になった」と指摘する。

 韓国ウォンが対円で急ピッチの上昇を続けていることで、韓国銀行(中央銀行)の金仲秀(キム・ジュンス)総裁は「口先介入」を開始。三菱東京UFJ銀行の内田稔チーフアナリストは、韓国ウォンの名目実効相場がリーマン・ショック後の高値を上回ってきている点に注目している。「周囲の通貨が上がる中でのウォン高は容認するだろうが、周囲を差し置いてウォンが一番上がっているというのは嫌がるとみられる」とし、今後、若干介入姿勢が強まるなか、100ウォン=8円台での定着を伺う展開になるとみている。

 しかし市場では、韓国当局は積極的なウォン安誘導には動きにくいとの見方が多い。

 韓国情勢に詳しい早稲田大学政治経済学術院の深川由起子教授は、9日のロイターとのインタビューで、2月に発足する朴槿恵(パク・クネ)政権について、中小の輸出企業育成の観点から極端なウォン高には警戒姿勢を示すものの、発足当初からウォン安誘導を図る展開は見込みにくいと話した。

 深川氏は、新大統領の朴氏を「ある意味で非常に原理原則主義者」と評し、「中央銀行というのは政治から独立しているべきという本来の教科書的原則にコミットすれば、そこから急に逸脱したりする人物ではない。誰がブレーンになるかということや韓国銀行総裁の考えにもよるが、朴政権の発足時からいきなりウォン安誘導をしていくということはないとみている」と話した。

 ニッセイ基礎研究所の高山武士研究員も、韓国当局は大規模な介入をしづらくなっているとみている。ウォンの現水準は輸出企業には打撃だが、以前経験したレベルであるほか、米国が昨年11月の為替操作報告書で韓国の為替介入に言及し、「われわれは引き続き、韓国当局に対し、介入は市場が不安定になった場合だけにとどめるよう求めていく」としたことに注目。国際的にも大規模な介入はやりにくくなっていると高山氏は指摘する。

 ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの村田氏は、ウォン高傾向について、当局が介入姿勢を強めることで足踏みすることはあっても、トレンドが大きく変わるような材料は韓国側にはないと指摘する。相場が反転するとすれば、米国での債務上限引き上げや「財政の崖」をめぐる交渉の難航、欧州債務問題への懸念の再燃、米国や中国の景気への警戒感の高まりといった、韓国にとっての「外部環境」で不透明感が増し、投資家のリスクオフモードが強まる状況しか考えにくいという。

 (ロイターニュース 和田崇彦 編集:伊賀大記)

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up