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〔兜町ウォッチャー〕将来の希薄化嫌気し銀行株が大幅安、海外ファンドの売り標的に

 8日の東京株式市場で銀行株が大きく売られている。国際決済銀行(BIS)総裁会議が合意した新規制が実施されれば、邦銀の資本政策は見直しを余儀なくされ、普通株増資による株式の希薄化を招くとして、一部の海外ファンドが売りの標的にしている。

 バーゼルで開かれたBISの声明によると、新規制は経済および金融市場に圧迫が生じる可能性を大幅に削減し、深刻さも軽減する。規制には銀行の自己資本基準に関する新たなルールや、レバレッジ比率の導入、流動性に関する国際的な最低基準、景気変動の影響を緩和する余剰資本の枠組みなどが盛り込まれている。バーゼル銀行監督委員会が年内に具体的な提案を示し、2010年末までに調整を終える見通し。

 マーケットを直撃したのは自己資本規制の強化策。みずほフィナンシャルグループ8411.T、三井住友フィナンシャルグループ8316.T、三菱UFJフィナンシャル・グループ8306.Tなどメガ銀行株が一時3%程度下げ、方向感のない相場の中でTOPIXを押し下げた。金融機関が銀行株を売り、下がったところを買い戻すという数十億円規模の取引が多くみられたが、欧州のマクロ系ヘッジファンドが売りを出したことが大きな下げにつながったとの声も出た。

 外資系証券のストラテジストは「日本の銀行は政策保有株が多いなどの特徴があり、資産圧縮の可能性や増資リスクが嫌気されたようだ」とみている。そのうえで「日銀の株買い取りなどが機能する可能性もある」と指摘。また今後の影響に関しては「増資リスクが織り込まれ、(売りが)一巡すれば再び回復に向かうのではないか」との見方を示す。

 国内証券の株式トレーダーは、前日でなく東京市場はきょうになって反応していることについて「普通株の比率を上げなければならないとの方向性が徐々に明確になってきたため」と話す。ただ、各国の規制当局が新規制を導入するとしても「まだ先のことであり、それまでに株価が上昇していれば問題はない」とし、足元では「過剰反応で売られすぎ」と指摘する。

 メガバンク3行では、みずほが自己資本比率、コアのTier1(中核的自己資本)とも三井住友や三菱UFJに比べて低く、規制が導入された場合「最も影響が大きい」(みずほ関係者)という。日本としては規制の導入に反対するとみているが、世界的にはこうした流れに傾きつつあり、常に希薄化の懸念がつきまとう、と同関係者は指摘する。

 (東京 8日 ロイター)

 (ロイター日本語ニュース 吉池 威記者 編集 橋本浩)

(takeshi.yoshiike@thomsonreuters.com; 03-6441-1794; ロイターメッセージング:takeshi.yoshiike.reuters.com@reuters.net)

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