[シンガポール 17日 ロイター] 17日のアジア通貨市場では、インドネシアルピアとフィリピンペソが対ドルで下落。全般的なアジア通貨の下げを主導している。インフレの高まりが、一段と積極的な政策の引き締めや海外資金の流出につながる可能性があるとの懸念が背景。
格付け会社ムーディーズは17日、インドネシアの外貨建ておよび自国通貨建てソブリン格付けを「Ba2」から「Ba1」に引き上げたが、市場がおおむね織り込んでいたため、ルピアはこれには反応薄だった。
HSBC(香港)のエコノミストは「われわれは、今年のアジア通貨について依然としてポジティブな見方を持っているが、ルピアなどインフレの高まりに直面してる通貨に関しては強気な見方を後退させている。一方、インフレ懸念のないマレーシアリンギなどの通貨はさらに上昇するとみている」と語った。
ルピア建て債券は、2009―10年に80%強のリターンを生み出し、株式市場は昨年46%上昇していた。しかし、インドネシアがインフレ対策で後れを取っているとの懸念から長期金利は今月1%ポイント近く上昇、ルピアIDR=は6カ月ぶり安値となっている。
1カ月物ドル/ルピアのノンデリバラブル・フォワード(NDF)は過去3週間に2%上昇しており、トレーダーは、一段の上昇余地があるとみている。
インドルピーINR=INは1カ月ぶり安値に下落。域内通貨や国内株式市場に追随している。12月20日以来の安値45.5750ルピーをつけた。
HDFC銀行の外為トレーディング部門代表は「ルピー買いにつながる材料もなく、下げ地合いが続いている。目先は弱含み、中期的にも大きく動くとは見込まれず、レンジ取引となるだろう」と指摘。この日のレンジは45.40―45.60ルピーとの見方を示した。
市場関係者によると、ユーロが高値から下落したこともルピーに影響している。
大手国営銀行のシニアディーラーは「株式市場からの資金流出が続けば、ルピーは今週中に46ルピーを抜けるだろう」と述べた。
外国機関投資家は今年に入り、株式市場で先週13日までに5億4500万ドルを売り越している。ルピーは年初来1.7%下落している。
フィリピンペソPHP=PDSPESOは0.4%安。インフレ抑制に向け中銀が利上げすれば資本逃避を招くと懸念されている。
マニラのディーラーは「ドル/ペソが44.50ペソ水準を抜けるか注視している。もし抜けなければ、上げ局面では売りたい。しかしこの水準を抜けると、今後1カ月程度で、一段高となるだろう」と述べた。
タイバーツは下落。銀行間市場と輸入筋のオファーで30.670バーツまで下落している。
*0620GMT(日本時間午後3時20分)のアジア各国通貨の対米ドル相場は以下の通り。
シンガポールドル 1.2920
台湾ドル 29.018
韓国ウォン 1117.40
タイバーツ 30.56
フィリピンペソ 44.43
インドネシアルピア 9065.00
インドルピー 45.55
マレーシアリンギ 3.0575
人民元 6.5908