[シンガポール 20日 ロイター] 20日のアジア通貨市場は全般に下落。軟調な株式市場や米ドル高を背景に短期的なポジションを手仕舞う動きが見られ、韓国ウォンやフィリピンペソを中心に軟化した。
海外投資家がインフレリスクが高まっている国の株式や債券を売却する動きを強めたことで、インドネシアルピアやペソに対する売り圧力が強まった。アジア市場内でも、投資家による選別色が強まっている。
ウェストパック・インスティチューショナル(シンガポール)のシニア為替ストラテジスト、Jonathan Cavenagh氏は「海外投資家はインフレが問題化している国とそうでない国との間で選別を進めるだろう」として、ルピアやインドルピーを「アンダーウェート」、マレーシアのリンギやシンガポールドル、ウォン、人民元を「オーバーウェート」とするよう推奨した。
ウォンKRW=KRW=KFTCは、米ドルのショートカバーを受けて下落。韓国中銀当局者が、1月の消費者物価インフレ率が12月に比べ加速するとの見通しを示したことが嫌気された。
海外投資家が韓国株の売り越しに転じたことや、輸入業者による決済のためのドル需要もウォンを圧迫した。
フィリピンペソPHP=も下落。継続する資金流出を背景に海外投資家が売りを出したほか、国内投資家がドルの売りポジションを縮小した。
同国の株式・債券市場が軟調なことも地合いを圧迫した。
在マニラのディーラーは「海外投資家の売りは続くとみられる。おそらくインフレ懸念が要因だろう」と指摘した。
ディーラーによると、フィリピン中央銀行はペソの下落を抑制するため、介入する可能性がある。
インドネシアルピアは、国内株式・債券市場で続いている資金流出を背景に下落。ただ、ディーラーは、インドネシア中銀がルピア安抑制に向け、ドル売り介入を行ったと指摘している。
トレーダーによると、インドネシアがインフレ抑制に向けた措置を講じない限り、海外投資家は株式・債券を売り続ける見通し。
在ジャカルタのディーラーは、短期的にルピアは1ドル=9100ルピアまで下落する余地があるとの見方を示した。
*0620GMT(日本時間午後3時20分)のアジア各国通貨の対米ドル相場は以下の通り。
シンガポールドル 1.2873
台湾ドル 29.033
韓国ウォン 1120.90
タイバーツ 30.52
フィリピンペソ 44.46
インドネシアルピア 9065.00
インドルピー 45.59
マレーシアリンギ 3.0510
人民元 6.5863