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タイ洪水でHDD不足、米アップルなど年内にも影響波及か

 [サンフランシスコ 21日 ロイター] 電子機器の部品調達網(サプライチェーン)に暗い影を落としているタイの大規模洪水。ハードディスクドライブ(HDD)の出荷不足により、早ければ12月にも、米アップルAAPL.Oなど大手コンピューターメーカーに影響が波及する恐れが出てきた。

 10月21日、タイの大規模洪水によるハードディスクドライブの出荷不足で、米アップルなど大手コンピューターメーカーに影響が波及する恐れが出てきた(2011年 ロイター/Sukree Sukplang)

 タイは世界第2位のHDD生産拠点だが、アナリストらや業界関係者の間では、洪水被害を受けた工場は数カ月の操業停止を余儀なくされるとの見方が広がっている。

 調査会社IHSアイサプライによると、2011年10─12月の世界のHDD生産量は前年比で最大30%落ち込む可能性があり、コンピューターメーカーなどは先を争うように在庫の確保に急いでいる。

 半導体大手の米インテルINTC.Oは21日、「流動的な」状況を注視しているとしたうえで、洪水の影響を受けていない工場からの調達と既存在庫の利用により、PC業界へのHDD供給は維持されるのではないかと指摘。広報担当のジョン・カービル氏は「PCのサプライチェーンは、日本での震災後に示されたように、非常に抵抗力がある」と述べた。

 HDD大手の米ウェスタン・デジタルWDC.Nと米シーゲイトSTX.Oは、ともにタイ国内に生産拠点を構えている。洪水の影響でウェスタン・デジタルの工場は操業を停止、シーゲイトは生産を維持しているものの、部品不足に直面する恐れがあるとしている。

 アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は今週行ったアナリスト向け説明会で、業界全体がHDD不足に陥る恐れがあると述べていた。

 <PC生産は危機に直面か>

 インテルは18日の第3・四半期決算発表会で、タイの洪水は第4・四半期のPC市場には影響を与えないとの見方を示していた。

 しかし、その後にウェスタン・デジタルのタイ工場の被害状況が明らかになるに従い、一部アナリストの間では、HDDの供給不足が12月にもPC生産の障害になり始めるとの見方が台頭してきた。

 独立調査会社ABRインベストメント・ストラテジーの共同創業者ブラッド・ガストワース氏は、「ここには大きな見解の違いがある。我々は洪水の影響を避けられるとは思っていないため、投資家にはインテルを避けるよう推奨している」と述べた。

 ウェスタン・デジタルは、HDD生産の60%をタイに依存。顧客の手元にある在庫は約2週間分で、販売代理店など流通段階で4週間分の供給は確保されているという。

 ロッドマン&レンショーのアナリスト、アショク・クマール氏は、そうした在庫が尽きれば、10─12月期のHDD供給量は需要を約10%下回ると予想している。

 また、IHSアイサプライのアナリスト、ファン・チャン氏は、タイでの生産は向こう数週間にわたって制限される可能性があるため、2012年初めにはHDDがさらに不足する可能性があると指摘する。

 PCメーカー世界第2位の米デルDELL.Oは、タイの洪水で8─10月期に影響が出ることはほとんどないとしているが、それ以降の見通しについては明らかにしていない。PC最大手の米ヒューレット・パッカード(HP)HPQ.Nのスポークスマンはコメントを差し控えている。

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