[台北 24日 ロイター] タイの大規模な洪水被害が、アジアのパソコン(PC)メーカーの先行きに暗い影を落としている。中核部品のハードディスクドライブ(HDD)の供給が滞り、年末商戦での苦境が予想されるほか、年明けの旧正月商戦にはさらなる苦戦が見込まれている。
洪水により全世界のHDD供給の最大3割が影響を受け、来年第1・四半期におけるPC販売は落ち込む見通しだ。業界では既にスマートフォンや、米アップルAAPL.Oのタブレット型携帯端末iPad(アイパッド)に押され気味。企業によるハードウェア投資も減速しており、PC業界は受難の時代を迎えそうだ。
シンガポール拠点のコンサルティング会社で副社長を務めるSatish Lele氏は、「アジアの中では、もちろん宏碁(エイサー)2353.TWや華碩電脳(アスース)2357.TWといった台湾のPCメーカーが一番影響を受ける」と話す。
同氏によると、PCメーカーは平均して4─6週間の在庫を持つが、11月から12月の休暇シーズンに向けて徐々に影響が顕在化してくる可能性がある。
タイは中国に次ぐ、世界2位のHDD生産国。アナリストや各社経営幹部によると、洪水に伴う工場閉鎖や生産停滞は数カ月続くとみられる。
エイサーはこの件について、ロイターの取材にコメントを避けた。世界2位の中国のPCメーカー、聯想(レノボ)グループ0992.HKからは早急な回答が得られなかった。
Lele氏はさらに、各PCメーカーはHDDの供給不足によるコスト増加分も負担せざるを得なくなると指摘。「消費者への価格転嫁は間違いなくできないだろう。コスト吸収という大きなプレッシャーも抱えることになる」と話した。