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構造政策も推進し、中長期の課題解決を=武藤敏郎・大和総研理事長

財務事務次官と日銀副総裁を務めた大和総研の武藤敏郎理事長は、日本再生にはエネルギー政策の再構築、財政の健全化、成長戦略の重点的実行が欠かせないと強調する。

武藤敏郎氏は、元大蔵・財務官僚で経済学者。東京大学法学部卒業後、大蔵省入省。主計局を中心にキャリアを積み、主計局長、大蔵・財務事務次官、日本銀行副総裁などを歴任し、2008年7月から大和総研理事長。

同氏の提言は以下の通り。

●中長期のエネルギー政策再構築が急務

大和総研は、2011年7月、東日本大震災に伴う東京電力福島第1原子力発電所の事故による電力不足問題の影響を憂慮し、提言レポート「電力供給不足問題と日本経済」を発表した。

仮に2012年4月以降、長期にすべての原発停止が続くと、実質GDPは年平均10兆円の減少が見込まれると現時点で推計している。

また火力代替などによる発電コストの上昇による電力料金の値上がり(長期的には家庭用は2010年比で2─4割、産業用は4─8割の電力料金の値上り)が懸念される。電力は経済活動の基盤であり、中長期的な日本のエネルギー政策の再構築が急務である。

●財政の健全化と社会保障と税の一体改革

欧州のソブリン債務問題の例を引くまでもなく、多くの先進国で財政のサステナビリティ(持続可能性)に疑念が生じてきている。財政を再建するには歳出削減と歳入増のための増税が必要である。

景気を良くすれば税収が増え財政赤字が縮小するという意見もあるが、景気悪化で減少した税収は回復するかもしれないが、日本の場合、財政赤字の主な要因は、高齢化に伴う構造的な社会保障費増加による歳出の増加だ。景気が好転してもこの問題は解決できない。高齢化の進展による社会構造の変化に対応した社会保障と税の一体改革が喫緊の課題である。長期的な日本再生を考える場合、財政の安定は不可欠である。

●成長戦略の重点的実行、TPPへの参加

経済成長を実現するための戦略はいろいろ存在するが、どれだけ実行できるかがポイントである。日本では「内需振興」とよくいわれるが輸出の振興とバランスをとることも重要であり、需要喚起に加えて供給サイドを支援する政策が必要である。そのためには企業家のイノベーションを促進するために、規制緩和などの構造政策が重要であろう。

また日本の対外戦略の検討も十分に行われる必要がある。TPPについては、広範囲に経済活動がグローバルに拡大している状況で日本が参加しないとすれば長期的な成長は期待できないものと思われる。ただしTPPによって悪影響を受ける産業に対してはこれを機に競争力強化を図る施策が必要であろう。

(3月5日 ロイター)

(タグ:日本再生への提言 Energy1 Fiscalpolicy1 Growth1 Trade1)

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