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アングル:短国利回り、日銀オペ減額でも大幅低下の「謎」 
2017年3月10日 / 06:48 / 8ヶ月前

アングル:短国利回り、日銀オペ減額でも大幅低下の「謎」 

[東京 10日 ロイター] - 国庫短期証券の利回りが、大幅に低下している。日銀オペの買い入れが減額傾向にあり、需給が緩んでもおかしくない中での利回り低下は、市場の「謎」として関係者の注目を集め出した。直近の入札で落札利回りが過去最低を更新した背景を探ると、買いの主体として海外勢とメガバンクの存在が浮き上がってきた。

 3月10日、国庫短期証券の利回りが、大幅に低下している。日銀オペの買い入れが減額傾向にあり、需給が緩んでもおかしくない中での利回り低下は、市場の「謎」として関係者の注目を集め出した。写真は2013年2月都内で撮影(2017年 ロイター/Shohei Miyano)

<3カ月物業者間取引で一気にマイナス0.5%台>

3月に入り、国庫短期証券入札で落札利回りが急激に低下している。新発3カ月物でみると、2月入札でマイナス0.25%だった落札利回りは、今月2日の入札でマイナス0.3%台、9日入札ではマイナス0.4%とマイナス幅を大幅に拡大し、過去最低を更新した。

堅調な入札を受けた業者間取引でも、数百億円程度と比較的まとまったショートカバーが入り、3カ月物JP3MF=JBTCの利回りは一気にマイナス0.5%台を付ける場面があった。市場では「レポ市場が恒常的に引き締まり、日銀オペ結果を見ても品薄感が強まっている」(国内金融機関)との声が出ている。

<続く日銀オペ減額>

「ここまで国庫短期証券が買われるのは謎」──。ある国内金融機関の短期金融市場の担当者は首をかしげる。

日銀は国庫短期証券の買い入れに関し、減額の方向性を明確にしている。月末公表の買い入れ方針では、2月末残高は36─38兆円程度がめどとなっていたが、3月末は34─36兆円程度に減額するとした。

実際に兆円単位で買い入れてきたオペのオファー額は、10日には2500億円規模に縮小している。

減額方針について国内金融機関の関係者は「日銀の買い入れがあるからどんなに深いマイナス金利で入札しても問題はないとする『日銀トレード』に、限界がきたと受け止めた市場参加者が多いはず」と指摘。「減額で利回りが急上昇してもおかしくなかったにもかかわらず、マイナス金利がどんどん深くなっている」と驚く。

<勢い増す海外勢の需要>

謎を解く鍵は2つある。1つは、日本の国庫短期証券に対する海外投資家の需要が引き続き強いことだ。

海外投資家は、マイナス金利の幅が大きくても、手元のドルを円に交換する取引で利益を得ることができる。ドルを邦銀に出している海外投資家は、足元で円をマイナス0.7%台で調達可能。落札利回りがマイナス0.4%だった9日の3カ月物の入札では、差し引きプラス0.3%台のリターンが確保できることになる。

日銀が2日発表した統計では、日銀の短期国債の保有額は2月末時点で約44兆円と、昨年9月末から約12兆円減少。保有割合は4割を下回った。

一方で海外投資家の保有比率は、5割を超えたとみられている。マーケットでは、現状のマイナス金利が続けば、海外投資家の保有比率はさらに高まるとみている。

<メガバンク、デュレーション短期化の思惑>

もう1つの要因がメガバンクの存在だ。3月は例年、年度末という季節性を反映して国内金融機関が適格担保確保の動きを強める。この流れに加えて、今回の入札では「期末に公表する保有債券のデュレーションを3年弱にするために、購入した意味合いがある」(国内市場関係者)という。

都銀の国庫短期証券を含めた平均デュレーションは、3年弱とみられている。ただ、そこには「カラクリ」があるようだ。市場では「国庫短期証券を除くと実態は7年超になると思う。マーケットからリスクを取り過ぎと批判される可能性があり、高いコストを払っても批判を回避する狙いがある」(同)と、分析する声は少なくない。

<利回り低下、中期債に波及>

国庫短期証券の異常とも言える強さは、中期ゾーンにも波及しているようだ。

2年国債利回りJP2YTN=JBTCは、6日に昨年9月以来となるマイナス0.3%に迫ったほか、8日に5年国債利回りJP5YTN=JBTCが昨年11月以来となるマイナス0.15%に急低下する場面があった。

観測された買いの主体は、国庫短期証券と同様に国内銀行勢と海外勢。短期ゾーンから中期ゾーンに買い需要が染み出しているようだ。

日銀は3月に入り、1日と10日に中期ゾーンの買い入れ額を減額したが、波乱はなく相場は安定している。

JPモルガン証券・チーフ債券ストラテジストの山脇貴史氏は「短期ゾーンの強さもあって、中期ゾーンの需給は今後も大きく崩れることはなく、仮に金利が上昇基調になっても、上げる余地は限られるだろう」との見方を示している。

伊藤武文 編集:田巻一彦

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