[ベルン/チューリヒ 9日 ロイター] スイス国立銀行(中央銀行、SNB)のヒルデブラント総裁が9日付で辞任した。妻の為替取引に関する問題について、把握していなかったと証明することは不可能で、現在の困難な経済状況などを鑑み、中銀の信頼性を守りたいと説明した。
総裁の妻のカシュヤ・ヒルデブラント氏は、スイス中銀が昨年9月にスイスフランの対ユーロ相場に上限を設定した3週間前にドルを購入し、上限設定後のフラン下落で利益を得ていたとの疑いがもたれている。
総裁はこれまで、同問題で辞任する意思はないと表明してきたが、この日の会見では「過去に発言したことについて、それが事実であると明確に証明することができない」と語った。
スイス中銀は、ヒルデブラント氏の辞任を受け、ジョルダン副総裁が総裁職を当面引き継ぐと表明。声明で「理事会の政策決定および行動能力は引き続き全面的に保証されている。空席となっている理事会ポストの人事は迅速に行われる」と述べた。為替相場の上限を「最大限の決意」を持って堅持する意向もあらためて示した。
スイス政府は、総裁の辞任は遺憾とした上で、中銀が再度、金融政策運営に全力を傾注し得ることを希望するとの声明を出した。
ナショナル・オーストラリア銀のアナリスト、ギャビン・フレンド氏は「政策的な観点からは変更はない見通し」とした。
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