[16日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)が16日に公表した4月24―25日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録から、数人のメンバーは、景気回復が滞った場合には、追加緩和策が必要になる可能性がある、と認識していることが明らかになった。ただし、6月末に終了する、FRBの米国債ポートフォリオの短期債を減らして長期債を増やす「ツイストオペ」の延長を支持したのは、1人だけだった。
議事録によると、FOMCの数人(several)のメンバーは、「経済回復が失速する、あるいは見通しへの下方リスクが十分大きくなれば、追加の政策緩和が必要になる可能性がある」との認識を示唆していた。
これに対して、3月開催のFOMCでは、追加の金融緩和措置が必要になるかもしれない、と考えていたのは2人(a couple of)だった。
つまり、4月のFOMCでは、経済が悪化した場合の量的緩和第3弾(QE3)への支持が、3月の段階よりもやや拡大したと言えそうだ。
議事録によると、一部のメンバーは「中期的な見通し、あるいは、見通しへのリスクが大幅に変化したとの確信が強まった場合にのみ」、FRBが現行のスタンスを変更することに賛成する、との認識を示した。
米経済が「緩やかに」拡大していることや、労働市場の状況が最近改善したことを踏まえ、政策の現行維持に傾いていることが示唆された。
一方、議事録によると、メンバーの半数が、今後の見通しへのリスクについて、おおむね均衡している、と考えているが、残りのほぼ全員は、国内外の先行きについて、暗雲が垂れこめているとの認識だった。
議事録によると「参加者は、経済成長見通しに対して、ユーロ圏の財政・金融上の重圧や米財政問題など、複数の下方リスクを指摘した」。
米国では、来年1月から歳出の強制削減や増税が発生するという「財政の崖」問題が存在する。バーナンキ議長ら一部の政策当局者はこれまで、この問題を放置すれば、経済が打撃を受けると懸念を示している。
議事録でも、「財政の崖」問題が回避されたとしても、将来的な財政不透明感を背景に、家計や企業が支出をためらう可能性が指摘された。
議事録によると、約半数のメンバーは、少なくとも14年終盤までは政策金利を異例に低い水準に据え置くことが適切、との見解を示した。
市場では、議事録のトーンがややハト派寄りと受け止められた。議事録公開後の短期金利先物を見ると、最初の利上げ時期の予想は2014年7月で、議事録公表前の2014年6月より後ろにずれ込んでいる。
<FOMC以降、リスク拡大か>
4月FOMC以降、米経済をめぐるリスクは拡大した可能性がある。
4月の失業率は8.1%で、前月の8.2%から低下したものの、職探しをあきらめた人の数が増えたことを反映したものだった。
最近では、ギリシャがユーロ圏を離脱するとの懸念が強まっている。
キャピタル・エコノミクスのチーフエコノミスト、ポール・アシュワース氏は「あらゆる材料を検討すると、QE3の可能性は、われわれがこれまで考えていたよりやや高いのではないか」とする一方、「ギリシャがユーロを離脱し、その影響が想定以上に深刻といった事態にでもならない限り、FRBが何かの措置をとるとは考えにくい」と述べた。
ロイター調査によると、FRBがQE3を行う確率の予想は30%。
FRBは2008年12月以来、事実上のゼロ金利政策を続けており、経済を下支えるため2兆3000億ドルの長期債券類を買い入れた。
4月のFOMC後にFRB当局者は、経済が弱いため14年終盤まで異例の低金利を続けることは正当化される、との見方を示している。
セントルイス地区連銀のブラード総裁は16日の講演で、経済見通しに明らかな変化があるまで、FRBは政策据え置きを続けると述べた。
*内容を追加します。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」