[ローマ 22日 ロイター] 独仏伊スペインの4カ国首脳は22日、ローマで会談を行い、欧州連合(EU)の域内総生産(GDP)の約1%に相当する1300億ユーロ(1560億ドル)規模の成長支援策を欧州は導入すべきとの考えで一致した。
一方、焦点となっているユーロ圏共同債の導入や救済基金の柔軟運用については、ドイツの抵抗が根強く、話し合いは平行線に終わった。
首脳会談後、モンティ伊首相は共同記者会見で「成長は財政規律が存在して初めて固く根を張ることができる。ただ、財政規律は成長と雇用創出があって初めて維持することができる」とし、4カ国は「規模が域内GDPの約1%に相当する1300億ユーロの欧州成長支援策を望んでいる」と述べた。
メルケル独首相も「3カ国首脳が表明した、EUのGDP1%相当を新たに投資など成長支援に割り当てる案に全面的に同意する」と言明し、「われわれが必要としている、真意のあるシグナルだ」と語った。
成長戦略をめぐっては、欧州の政策金融機関である欧州投資銀行(EIB)の増資やEU構造基金の未使用分の再分配、インフラ事業向けのプロジェクトボンドなどがすでに検討されているが、この日、追加対策に関する発表はなかった。
こうしたなか、ユーロ圏共同債などをめぐっては、メルケル首相から前向きな発言はなく、オランド仏大統領がドイツの消極的な姿勢に不満を漏らす場面も見られた。
オランド大統領は「ユーロ圏共同債を選択肢とみなしているが、10年という時間では考えていない」とした上で、「ユーロの連帯改善なくして主権移譲などあり得ない」と強調した。
これに対しドイツは実質的に逆の立場をとっており、メルケル首相はこれまでに、ユーロ圏加盟国が財政や経済政策をめぐる権限を移譲すればユーロ圏共同債の検討が可能としている。
オランド大統領はまた、欧州の救済基金を利用して、利回りが大きく上昇しているソブリン債を買い入れるというイタリアの提案を支持するかとの質問に対して「支持する」と応じた。
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