[東京 25日 ロイター] - 東京五輪は25日、日本武道館で男女の柔道を行い、阿部一二三(ひふみ)と妹の阿部詩(うた)がそろって金メダルを獲得した。兄と妹が同日に優勝するのは初めて。先に勝利した詩が応援する中、一二三は2年前の雪辱を果たした。
阿部一二三は試合後、「落ち着いて自分の柔道ができた。1本を取りに行く柔道が出せた」とコメント。2019年の世界選手権東京大会は妹が優勝する一方、自身は3位に終わっており、この日も先に妹が金メダルを取ったが、「プレッシャーはなかった」と語った。
一二三は男子66キロ級決勝でバジャ・マルグベラシビリ(ジョージア)と対戦。技あり(大外刈り)でポイントを取り勝利した。
直前の女子52キロ級で金メダルを取った妹の詩は、兄の試合を会場で見守った。
兄の影響で柔道を始めた詩は、決勝でアマンディーヌ・ブシャール(フランス)を抑え込み1本(崩れ袈裟固め)で破った。日本は女子52キロ級だけ五輪の金メダルがなく、これで男女全階級すべてを制したことになる。
詩は試合直後のインタビューで「4年間、この大会だけを目指して日々努力をしてきた。努力が報われて良かった」と語った。「私が52キログラム級で絶対に金メダルを取ってやろうという気持ちで今回は挑んだ」と話した。
阿部きょうだいは兵庫県神戸市出身。兄の一二三は1997年生まれの23歳。2012年にアジア・ジュニアユース選手権大会で優勝、17年、18年に世界選手権を制した。背負い投げを得意としている。
21歳の妹の詩は2017年2月、高校1年生で出場したグランプリ・デュッセルドルフで優勝したのを始め、世界選手権連覇、グランドスラムで6度、グランプリで3度の優勝を飾るなど、圧倒的な実力から金メダルの最有力候補と言われていた。袖釣り込み腰を得意としている。
日本の男子柔道の金メダルは、60キロ級の高藤直寿に続いて2つ目。女子は阿部詩が金、48キロ級で渡名喜風南(となき・ふうな)が銀を獲得している。
(久保信博、山口香子 編集:伊賀大記)
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